diary

10年目のモナコGP

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「どんなにしても抜けない、ここはモナコ、モンテカルロ絶対に抜けない!」

1992年、50回メモリアルレースモナコF1GP。2位走行のマンセルが1位のアイルトン・セナをファイナルラップのRascasseで外側からオーバーテイクしようとした時、三宅さん(当時F1実況中継アナウンサー:フジTV)が絶叫した名セリフ。

セナの乗るMcLarenMP4/ 7Aは、Williams FW14(史上まれにみる名車)に全く歯が立たず、このモナコGPでも戦前の予想は、「マンセル圧倒的優位」。

予想通り、マンセルは、快走の首位で2位セナに30秒以上の大差をつける。しかし、突然マンセルのFW14は左リアのアクシデント(タイヤバーストによる空気圧の低下と判断)が襲い、緊急ピットイン。

この間にセナは 首位に躍り出て、壮絶なバトルが繰り広げられる。

73周目首位セナと2位マンセルの差は5秒159、フレッシュタイアを履いたマンセルは、異次元のスピードでセナを猛追。75周目には、その差1秒弱までに急迫。

マンセルは、追い抜ける可能性のあるありとあらゆる場所で、マシンを左右にスラロームし、セナのバックミラーにその存在を誇示。

一方、セナは、追い抜けるポイントのレーシングラインの要所、要所を的確にトレースさせ、マンセルの追撃をかわす。コースの両側(後述)は、ウォールがすぐ近くにあり、少しでもハンドル操作を誤ると、そくウォールにヒットするこのモナコで、マンセルのFW14はまるでダンスを踊っているかのようにみえる。

そして、おそらくセナ自身初めての経験であろう、同一周回でのブルーフラッグが振られるという衝撃的なシーンが目の前に展開される。

ブルーフラッグとは、「あなたの後ろにより速い車が迫っています(だからコースをあけなさい、というニュアンスも若干含まれる)」という意味で、通常周回遅れになるF1カーに振られるもの。それが同一周回、しかも首位攻防しているF1カーに振られるのは、極めて異例なこと。当時ライブで見ていたが、「ウソやろ!?」って目を疑ったのを今でも鮮明に憶えている。

ファイナルラップ・・・。

三宅さんが「もうどこからでもぬける。しかし、ここはモナコ」の絶叫と、通常ありえないポイントからオーバーテイクを試みようとするマンセルに、解説者の「うわ〜、ここからいくのかぁ」という悲痛な声にも似た叫びがこだまする。そして、Rascasseで外側からオーバーテイクしようとしたマンセルに、三宅さんが、「どんなにしても抜けない、ここはモナコ、モンテカルロ絶対に抜けない!」と絶叫し、0秒215という僅差でのセナの今季初優勝が決まった。

F1観戦が大好き(というかセナ・プロストが大好き)なんで、里には約10年ほど録画したビデオがある。たまに見るんやけど、やっぱりこの1992年のモナコF1GPは、記憶に残る最高のレースの一つ。

モナコは、今まで数々開催されてきた市街地レースの中で、唯一残っている市街地コース。一周約3.3kmの基本的コースレイアウトが第1回大会(74年前の1929年)以来ずっと変わっていない。F1カーが2台で並走できるポイントが少なく、路上はいたるところにマンホールがあり、バンピー。しかも通常のサーキットと違い、コースの周辺にすぐ建物やヨットハーバーがあるため、スケープゴートが少ないうえ、側壁(ウォール:ガードレール)に囲まれている。

だからウォールと走行中のF1カーが接触するぐらい危険なコースである。現にF1カーに搭載されている車体カメラからドライバーの目線でみると、コーナをぬけたら目の前にウォールがせまってくるような錯覚におちいる。しかも時速200km以上、最高速300kmのスピードで駆け抜けていくカメラ映像をみると、あらためてF1ドライバーの技術と勇気をかいま見られる。

さらにシフトチェンジが1周平均約30回(3秒に1回)で、ブレーキキングが1レース約1000回(7秒に1回)にのぼり、通常レースの1.5倍になるともいわれ、体力的にも過酷なサーキットでもある。

あれから12年、先日開催されたモナコF1GP(2004.05.23)は、現役モナコマイスターのM.シューマッハーが史上初開幕6連勝とセナに並ぶモナコ最多の6度目の優勝をかけて挑んだレース。くしくも1992年にマンセルが開幕6連勝をかけていどんだレースと同じ状況だった。結果は、セーフティカー走行の追い越し禁止周回中に、まさかのブレーキロック。後続のモントーヤと接触し、側壁にぶつかり左前輪とフトントノーズ破壊でリタイア。

セナが亡くなって10年目のモナコGPでこんなドラマがあろうとは。何か”神の意志”がはたらいたなんて言われかねないような、まさかの結末。それほど、誰もなしえない開幕6連勝とセナにあたえられたモナコマイスター(モナコGP6勝)という称号は、偉業なのだと痛感した。

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