かゆいところに手が届く伝えかた

「もう少しだけ説明して」「そこをちょっと聞かせて」なんてフト感じたことがありませんか?

サイトの説明文やお店の対応など例を挙げたらキリがありませんが、先日あるサイトを見ていて感じました。まずは、次の文章をご覧下さい。

「当店では、お客様においしい○○をお召し上がりいただくために、××のよいものだけを厳選しております。従いまして、ご注文をお受けしてもすぐに出荷できない場合がございます。ご了承いただきますようお願い申し上げます。」

食べ物を通販しているある小売サイトにあった説明文です。ただ、○○と××はふせていますが、前者は実際の商品で後者は商品の状態です。
一見なるほどと思える文章ですが、この文章を掲載している目的は何なんでしょうか?

  1. 商品出荷がすぐにできない理由を説明するため
  2. やんわりと厳選していることを説明するため
  3. 1と2以外の理由

1か2の理由だと思っている私は、「××のよいものとは、どういうことなのか?どんな状態がよいものといえるのか?」と、このサイトを見たとき思いました。

例えば、

  • “いい素材を仕入られるまで待っていること?”
  • “製造工程のことをさしてるの?”
  • “はたまた、よいものができない場合はどうしているのか?”

などいろいろな疑問があげられます。

要は「ソコが知りたい!」という好奇心がかき立てられるわけです。裏を返せば「ソコを知ることが購買意欲のポイント」に、私はなります。

さらに別の例では先日、ある歯科医院でも『「ソコを聞きたい」思い』にかられました。私が仕事で待機していると、診療室から患者様へ説明している内容が聞こえてきました。

「今日治療した歯は、8割方削らせていただきました。来週は、さらにもう少しその歯を整えてから最終の補綴をいれますね。」(あとでお聞きすると、土台を入れて形を整えていた内容の治療でした)

私は、客観的事実を丁寧に説明されていると思うと同時に、次の質問が頭に浮かびました。”8割がた削るとこの歯は将来どうなるのか?”

歯の治療のことは全くわかりませんので、この質問自体が失礼にあたるかもしれません。ただ、何気なく「将来」を聞いてみたいという思いにかられたわけです。

こういった場面に遭遇するたび、私も自分自身の説明がお客様に同じように感じられているのではないかと振り返ります。説明不足ではないのですが、もう少し「かゆいところに手が届く伝え方」ができるのではないかと自問自答しています。

「お客様に聞かれたことを的確に答える」ことは当然であり、コミュニケーションの第一歩です。しかし、「お客様に聞かれる前に、感じておられるかもしれないことを上手に答える」ことができた時さらに喜んでもらえることもあるのではないでしょうか?

みなさんは、○○と××部分にどんな言葉を入れて、どう感じられたでしょうか?

『伝わる・揺さぶる!文章を書く (PHP新書)』 山田 ズーニー