ハードだけでなくソフトも好調なau

好調な業績が続くauですが、その原因は「ハードウェア」だけでなく、「接客」というソフト面でもライバルのドコモと差別化を図っているからだと言われています。

マナー研修には外部から講師を招き、商品知識研修にはKDDIの営業社員を起用。こうした施策の効果が、2004年には目に見えて現れ始めたという。「“auチームの一員である”という考え方がショップスタッフの中に浸透してきた。自分の役割についての自覚が出てきた」(KDDI)。時を同じくして、魅力的なサービスや端末が続々と発表されたこともあり、今の“好調なau”がある──というのが、KDDIの見方だ。

via: ITmediaモバイル:最前線は任せろ〜好調auを支える“ハートフル”な接客

auの好調な業績を支える要因は、3つあげられます。

  • 第一は、「携帯電話らしくない」デザイン:ハードウェア
  • 第二は、「対ドコモ戦略」を念頭にした料金設定:インフラ
  • そして第三が、今回取り上げた「接客」:ソフトウェア

ご存じのように、auはデザイナーと提携し、主流の折りたたみ式の発想を捨て、斬新なデザインを採用した携帯電話を開発し、昨年あたりから市場に投入してきました。つい先日もその流れをくむtalbyが発表されています。これが第一の要素です。

さらに料金設定やパケット定額制の導入の背景には、徹底した「対ドコモ」の意識がうかがえます。auの既存顧客に対する料金メリットだけでなく、ドコモのパワーユーザーの新規乗り換えをターゲットにしているのがよくわかります。これが第二の要素です。

上記のような取り組みから、これまでauの好調な業績を語られるときは、ハードウェアやインフラを革新している点を取り上げられていました。

しかし昨年あたりから、実はそれだけではないのだということが、市場関係者やコンサルタントの間で紹介されはじめました。それが、業績を支える第三の要素である「接客」です。しかもauの「接客」には一つの特徴があると言われています。
紹介記事の文中にも登場する「商品知識」です。

「商品知識」と聞くと、「自社商品の知識」を想像しがちですが、auの接客はそうではありません。自社商品は当然のこと、さらに「ドコモの携帯電話の商品知識が豊富である」のが強みです。ドコモの携帯電話の種類、各機種の操作方法、用途、料金体系など多岐にわたり、知識量は他のキャリアを圧倒していると言われています。

このことは、新規乗り換えを検討しているドコモユーザーには、とてもありがたいことです。まずは、一番最初の「不」をとりのぞいてもらえます。ユーザーにとって、長年使ってきたキャリアから乗り換えるとなると、様々な「不安」があると思います。一例をあげれば、

  • 「今まで使っている頻度からすると、auではどれぐらいの料金か?」
  • 「自分の用途にあった機能をauにもあるのか?」
  • 「インターネットに接続しているが、auでもお気に入りのサイトは接続できるのか?」

などです。

これらの質問に対して、問われた側が「ライバル会社の商品」を熟知しているかしていないかで、返答の「信頼度」が違うことは容易に推測できます。

記事には、『「商品知識」だけの「接客」は満足できるとはいえず、さらに要求は高くなっている』とあります。この記事や関連記事を読む限り、auはこれからまだまだ好調を維持できそうな感じであり、さらに番号ポータビリティ制が導入されれば、マーケットシェアにドラスティックな変化がおこる可能性を秘めているといえます。

今回のauの「接客」は、「接客」という視点だけでなく、
「選択した戦略から導き出された戦術があり、さらに戦闘したことで、さらに戦術に磨きがかかっている」
という点で、その他の業種でも十分に参考になるのではないでしょうか?