エモーショナルマーケティング関連を読みあさる。勝手にぶちあたってしまった。
『“快楽消費”する社会―消費者が求めているものはなにか (中公新書)』 堀内 圭子
『けいざい心理学!―「気分」と「直感」で経済は動く』 日本経済新聞社
『現代消費のニュートレンド―消費を活性化する18のキーワード』 電通消費者研究センター
「“快楽消費”する社会―消費者が求めているものはなにか」は、はじめに”あとがき”を読むことをオススメします。だって、「論文か本か、本なら専門家向けか一般向けか」て考察しているところが、学者だなぁと偏頭痛がした。
“1章「消費者行動をさぐる」”、”2章「快楽消費のロジック」”、”3章「日本における快楽消費の歴史」”と、「快楽消費」を説明するために3章も使って、言葉の定義付けから歴史までを費やすあたりが、筆者の思考と文章の「快楽消費」がかいま見えて香ばしい。
理解力が乏しい私が印象に残ったのは、「現代の日常生活にフィットする快楽消費のロジック」
- ささやかな楽しみがたくさんある
- 一人でも複数でも快楽を経験できる
- 美しさを堪能できる
- 手軽である
- 好き勝手に始めたり、やめたりできる
- 特別な能力やスキルを必要としない
- 多大な労力をつぎ込む必要がない
表題からおおよそ想像はつくのではないかと。一人でお手軽に始められて、勝手にやめられるし、ちょっと楽しみがある。身に覚えありません?
ただ、これから察するに、「年収300万時代!ウンヌンカンヌン」という某エコノミストが、ミニカーとフィギアのコレクターに300万以上かけているのではないかと思えるような消費行動は、「快楽」にはあたらないから学説はなかなか難しい。
あと「高齢化社会における快楽消費」もフムフム。私よく話する「団塊小金持ち世代(言葉ワルッ…..)」についての説明。
『セゾン総合研究所の調査(戸川洋子,2003年)では、仕事をリタイアした高齢者たちは、食事を楽しみ、旅行や趣味活動に関心を寄せており、ブランド品の購入意欲も旺盛であることが示されている。』—–本書P138
ここに子育ての終わった50代後半から60代前半の大企業サラリーマンも含めて考えてみるとオモシロイ。実際、これらの方々は非常に消費欲が旺盛。今年、「おとな買い」と言われる消費キーワードも生まれた。ちなみに父親(56歳)も、来年豪快な「おとな買い」をしそうな予感(–;)
リンク先のレビューにもあるように本書は「説明」だけです。別に「快楽消費行動」を分析・考察して、マーケティングにおけるニューワールドを創造しようとなんて微塵もない。さすがです。なんか「講義ノートかな?」と一瞬妄想した。
「けいざい心理学!」は、合理的経済人のようなエコノミストなんかじゃなく、「経済の中心にはココロがある」なんてキュートなフレーズ。一瞬、詩集を手にとってしまったのか錯覚した。120分もあれば十分。行動経済学がスープになっているのでしょうな。
冒頭に登場する「例え」が、2002年ノーベル経済学賞を受賞したカーネマン教授(行動経済学)の研究。どちらを選ぶ?
A=80万円もらえる
B=100万円もらえるが15%の確率でもらえない(85%の確率で100万円もらえる)
研究結果では多くの人がAを選ぶんだって。Bを選んだ私は、確率を知らぬバカか(泣
1テーマ1コラム式になっていて、読みやすい。それに各テーマに金言が転がっているような気がする。いくつか微笑んだのがある。
「今ここで買う理由」は、その一つ。あのドンキでは、「値下げ」ならぬ「値上げ」の予告が珍しくない。消費者に「今ここで買う理由」を見つけやすくする工夫があふれているんだと。まぁ、発刊日が事故より前。後ならどうなっていたのか不純な妄想をしながらページをめくった。
他にも「心の特別会計」「選択肢の洪水」「隣の芝生は赤い」など、キャッチコピーとして眺めても秀逸。
最後の「現代消費のニュートレンド―消費を活性化する18のキーワード」は…..またツカレタ。「ユビキタス消費」にエントリーしているので割愛。