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[Review]: 嘘つき大統領のアブない最終目標

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嘘つき大統領のアブない最終目標

ポール・クルーグマン教授の最新作。将来のノーベル経済学賞最有力候補。94年の「まぼろしのアジア経済」と題した論文は、当時のアジア急成長の限界を予言、見事的中したことであまりに有名。『クルーグマン教授の経済入門 (ちくま学芸文庫)』 ポール クルーグマン (1998年11月刊:現在単行本が出版)では、世界で初めて指摘!?した「日本がはまった罠(流動性トラップ)」を収録。

当時は「ウソん」の一言で受け入れられなかったようだか(パッシングされたと聞きますが)、いまや巷のエコノミストの識見(リフレ派でしたっけ?)を散策すると、クルーグマン教授のインフレ期待政策の実施が、日本救済の道とシュプレヒコール。他、知的好奇心をかき立てる図書、『良い経済学 悪い経済学 (日経ビジネス人文庫)』 ポール クルーグマン , 『恐慌の罠―なぜ政策を間違えつづけるのか』 ポール クルーグマン , 『グローバル経済を動かす愚かな人々』 ポール クルーグマン など多数。

いきなり脱線した。本書は、前作 『嘘つき大統領のデタラメ経済』 ポール・クルーグマン の続篇。NewYork Timesで連載中のOp-Ed(社説と対をなしている寄稿欄)のコラムから29篇をセレクト。時期は、バクダット陥落以後の1年間。ちなみに、僕は、これから先に読んでしまった、バカか。現在、前作を読書中。

前作同様、政府発表の公式資料のみで、ブッシュ政権のまやかしを暴いていくジャーナリスト顔負けの説法は圧巻。ただ、おおむね前作が秀逸すぎたせいか、続編としては物足りないという感想が多いもよう。フーン、どっちでもいいけど。

第1章は、「戦争とテロ」。大量破壊兵器を隠し持ち、テロを支援しているという理由で攻め込んだイラク。ところが兵器はない、ビンラディンとの関連づける証拠も発見できないという始末。おまけにテロリストも掃討できず。となると、実はもっと違う目的があったのではないかという反対派の疑念。

いくつか根拠を提示している。国際戦略研究所によると、アルカイダは9.11テロ事件以前よりも「狡猾で危険」になったらしい。また、テロ攻撃から米国を守るために実施すべき国内安全保障について驚くほど消極的。港湾、化学工場、原子力施設などを守る支出を怠っている。じゃ、一体何のためのイラク戦争だったのか?

第2章は、「減税と社会福祉」。共和党ネオコン(クルーグマン教授はrevolution:革命勢力と一刀両断)が国民を騙しつつ遂行しようとしている、「獣を飢えさせろ」戦略。

激増する財政赤字にもかかわらず、ブッシュ政権は減税法案を通過。まして戦時下の減税は類をみない。教授は、「平均」という誤解を招きやすい言葉に注目、平均年収100万ドル以上、上位所得層トップ1%の家庭が8万ドルほどの減税の恩恵を受けると試算。華麗なる種あかし。

減税によってさらに財政赤字が膨らむ、のじゃなく、膨大な財政赤字だから減税を実施し、さらに増大させ、エエころあいをみはからって、それを口実に社会福祉を切り捨てようと画策。カネ持ちをさらにリッチにして、ビンボー人を飢えさせる、共和党右派の野望

第3章は、「権力の濫用」。文民統制、いわゆる軍人ではなく文民が国の最高権力を握っている米国は、歴代大統領が軍人のイメージを避けてきた。D・アイゼンハワー、J・F・ケネディーしかり。にもかかわらず、イラク戦争では、ブッシュ大統領が飛行服を着て、「トップガン」をお披露目。滑稽をスルーして不気味さが漂う。メディアを利用して愛国心を訴求し、リベラルや政権批判者の言論を封殺。

2002年の中間選挙で使用された電子投票システム。投票機を納入する最大手のディーボルド社のシステムがいかに不安定で、改竄可能かを例示。ただし、クルーグマン教授は、陰謀説など無視すればよいと一笑に付している。もっと本質に眼を向けよ、どうすればいいのか?今、まさに米国の民主主義は危機を迎えている。

NewYork Timesのコラムは、辞書片手に脳に汗かき読んで理解してないけど、歯に衣着せぬもの言いに舌を巻く。こういうセンセイって日本でいうと、誰になるんでしょうね?

かつて、ジョン・K・ガルブレス(最新刊は 『悪意なき欺瞞』 ジョン・K・ガルブレイス )を”メディア・タレント”とこき下ろした教授が、いまや米国を代表する押しも押されぬ名コラムニストになろうとは、アイロニーというかご本人もサプライズ!?

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