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[Review]: はじめて考えるときのように

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はじめて考えるときのように―「わかる」ための哲学的道案内 (PHP文庫)

『はじめて考えるときのように―「わかる」ための哲学的道案内 (PHP文庫)』 野矢 茂樹

論理学を多少かじってみようかと血迷い、皆目見当がつかない状態でアマゾンでサーフィン。”野矢 茂樹先生”がよいかと思い、ひととおりゲット。その第一弾。題名からも察せられるように、「そもそも考えるってなんだろう?」って素朴な疑問から物語がはじまる。小難しいことが書いてあるわけじゃなく(一部、論理学のタームが登場するけど)、中高校生ぐらいの読者に解き明かしていくような感じ。淡々と読みすすめられるのであっという間に読了してしまうけど、奥がかなり深い。

「考えるって、どういうこと?」って尋ねられたら、どう答えます?「考える」というのは、心の状態や働きのことなんかじゃないし、頭の中で「思考」という作業をしているわけでもない。

  • 1. 「考える」って何をすることだろう
  • 2. 問いのかたち
  • 3. 論理的に考えるだって?
  • 4. ことばがなければ考えられない
  • 5. 見えない絆
  • 6. 自分の頭で考える?
  • あとがき

「問題」を抱えて、問いかけて、答えが思いつかない。耳を澄まして、研ぎ澄ます。考えている人と考えていない人は、何が違うか?どちらかがエライとかじゃなく、同じコトをしても、「問題」に結びつけようと、「いろんなものを見て、感じて、思いがよぎって」くる。それが違い。

そこに考える人の不幸もある。見るモノ、さわるモノ、自分のまわりのものが「問題」に彩られてしまう。問題に関係した顔つきになる。

でも、ここで問題の問題が(ややこしい)。そもそも、「問題ってなんだろう?」。問いのパラドックス。学校で用意された問題なんかは、問いの形がきちんとしていて、答えも用意された保証あるもの。でも、僕たちが出会う問題は、けっしてそうじゃない。

答えがあるかどうかわからない。それに、どんな問題なのか、まず、「問いのかたちがハッキリしない」なんてしばしば。だから、こんな言葉が頭によぎる。

「これはいったい、どういう問題なんだろう」

問いを問わなければいけない。問いのパラドックス、問いの逆説。これをソクラテスとメノンの有名な会話を引用しながら、説明してくれる。おもしろい。

じゃ、問いはどうやったら生まれるのか?問いの背景は?学べば学ぶほど問いが増えるのはなぜか?とつなげていく。

そして、「考える」をとりあげると、おのずと行きあたる「論理」。「論理」の正体を考える。結論だけのべると、「論理は考えを放棄するためにある」と先生は言う。僕の稚拙なレビューで誤解を与えてしまうけど、巷にあふれるロジカルシンキングの論理と論理学からアプローチする論理の違いがよくわかった。入門編って感じ。

タラバガニは「メー」と鳴く。 北海道の羊は「メー」と鳴かない。 だから、北海道の羊はタラバガニではない。

これ、前提が間違っているようだけど、結論はあっている。まちがった前提から正しい結論を導くような論証は論理的でないかというと、違う。前提や結論それ自体の正しさと論理の正しさは別。

考える-問いを持つ-論理の順番に説明してきけど、いよいよこれらを形成する根本に目を向けていく。それが、「ことば」。4章に一言集約されているように、「ことばがなければ考えられない」。考えるにも、問いかけるにも、答えるにも、「ことば」ないとはじまらない。

最後に、先生はまとめとして、考える技術は、次の5つをあげている。

  1. 問題そのものを問う
  2. 論理を有効に使う
  3. ことばを鍛える
  4. 頭の外へ
  5. 話し合う

読了して一言。「ナンデこんな本が書けるんやろう?」って唸った。「考える」なんてややもすると抽象的表現に終始しそうなテーマについて、身近な事例や挿話をいろんなジャンルからひっぱりだして、説明してくれている。だから、頭のわるい僕は感嘆しっぱなしで楽しませてもらった。

仕事にからめると、歯科医院のスタッフさんでこれからもっと自分をのばしたいって思っている方には、オススメかな。でも、こういうテーマを強制的に読むのは、個人的には???かな。

最後に、著書の内容とは別の特徴。イラストが心をとてもなごませる。イラストだけを、あとで何度も眺めた。なんでイラストがあるのかは、あとがきのお楽しみ(笑)。

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