会計事務所を顧客にする会計事務所の戦略

一昨日、「ドクターが求める会計事務所の役割とは?」の続きに参加。ぶっちゃけ、名南経営センターグループの戦略に瞠目。いつかどこかがヤルだろうと思いつつも、戦略-戦術-戦闘のラインの強固さに感心。

「会計事務所が会計事務所を顧客にする戦略、ブルー・オーシャン戦略 競争のない世界を創造する

講師が言う。「言うのは誰でもできるけど、まずはやってみること」を実践したら今の企業になったと。ニクイことを言ってくる。

まずは、下図をご覧ください。

会計事務所の業務

名南経営センターグループの会計業務は他の会計事務所同様、従来のモデル(上段)だった。大学の新卒を採用し、1年目から顧客企業を担当する。担当といってもやっていることは、記帳代行業務をはじめとする経営アドバイスそこそこの「低付加価値業務」。それを、歯科なら月額4万円〜の顧問料で提供してきた。

一方、高付加価値業務を提供する部隊もいる。医療コンサル、資産税、社労士をはじめとした「ワンストップサービス」を標榜する専門領域に特化したプロフェッショナル。この部隊のなかには新卒から中堅になるにつれスキルを身につけた方やヘッドハンティング&中途採用の方が所属しているんだろうと。

ところが、数年前から会計事務所業界にもニューウェーブがやってきた。「低付加価値業務=月額4万円」では通用しない。歯が立たない。記帳代行業務が中心の新卒に大卒初任給をペイするなんて、「採算と効率」が全く合わないわけで。だから名南経営センターグループは判断したらしい。

そこでどうするか?

それが、上図の下段。新しいビジネスモデルの構築。新卒を高付加価値業務の部隊へすみやかに移行できる社内体制を敷く。それには、

  1. 低付加価値業務を上海で提供している「記帳代行サービス」に移行する
  2. 高付加価値業務を支えるシステムとして「マイ顧問・ドット・コム」を提供する

「記帳代行サービス」に移行する

製造業と同じ発想、工場を中国に移転した価格差益。そして、1.で魅力的な低価格を入口に、顧客企業には研修やコンサルなどの高付加価値業務を提供する。それには、2.を存分に活用する。

「マイ顧問・ドット・コム」を提供する

詳細は書けない。一通り目を通して鳥肌がたった。ナレッジマネジメントの真髄。資産価値は億だろうねぇ。

最初は自社だけで1.と2.を展開していたところ十分な価値があると確信。満を持して"ノウハウ"をマーケットに投入した。その投入先が、なんと、「競争相手になるはずの会計事務所」。

月額使用料を払えば、どうぞ自由に使ってくださいと。

「会計事務所を顧客にする」ために掲げている獲得顧客件数は、全国約3万5千件ある会計事務所のうちの1,500件らしい。あくまで、今回のセミナーで公表した数値。正直、一瞬で獲得だろ、ってツッコミをいれた。この目標件数によって計上される売上高は、ざっと計算しただけでも、年間約6億円程度。最低ライン。

いやぁ、見えないところで静かだけど確実に地殻変動が起きそうな動きをしてるなぁっと実感。