医療情報リテラシーで生まれる新しい関係

MedWave: 【編集委員の視点】ブログが作る新しい医師-患者関係

慶應義塾大学看護医療学部教授の加藤眞三さんが最近立ち上げた「MELIT(Medical Literacy For Patients)」というWebサイトは、ブログを用いた医師と患者の対話が特徴だ。加藤さんは肝臓病が専門の医師で、患者向け「肝臓病教室」を多くの病院に広める活動をしている。

MELIT(患者のための医療情報リテラシー)には、医師が6人、患者が7人、合計13人がそれぞれの立場からブログを開設し、ネット上で対話しています。

患者には、肝臓移植の経験者や祖父を肝臓ガンで亡くされた方、C型肝炎に感染した方などいらっしゃって、思いや心境、治療中の状況などを述べられています。ペグインターフェロン注射の様子を写真付きで解説しているものやインスリン注射について患者サイドの言及もあり、同様の病を患っている方以外でも、医療情報リテラシーの向上のためにとても参考になります。

ブログにはまた、患者同士のセルフ・ヘルプ(自助)機能もありそうだ。加藤さんは「病気になったばかりの患者にとって、先輩患者のブログを読むことが、病気についての正しい知識の習得や不安解消に役立つはず」と期待している。

以前、プライベートのエントリーでふれたように(参照記事)、医師と患者との間に認識のギャップがあり、「医療消費者と医師との間で双方向の情報が流れるようにコミュニケーションを高めること」が課題であると指摘されています。また、患者が求める医療情報とホームページに掲載されている医療情報に格差があるという結果もでています。

そのなかで、同一サイト内で、医師と患者の双方から対話的にブログを始めたのは、「話し言葉」ではなく、「思考の整理を含めた書き言葉」でコミュニケーションできるとことに新たな発見があるのではないでしょうか。

ただ、私がお手伝いしている歯科の場合、放言すると、「命にかかわることじゃない」という意識が根底にあるのも否定できません。しかしながら、医科とはまた違った形で、「口と健康の関係」や「口とQOL」などを対話できるブログが登場すれば、セルフケアの第一歩につながり、新しい歯科医師−患者関係が生まれるのではと期待しています。