健康診断

健康診断って何が本当か?

毎日新聞(オンライン版)のを一読して、もやもや。

健康診断で実施されている代表的な24の検査項目のうち、肝機能検査や心電図測定など16項目は、病気の予防や死者の減少という視点では有効性を示す根拠が薄いとの評価結果を、厚生労働省の研究班がまとめた。自治体や企業に法律で義務付けられ、成人の大半が受ける健診の実施費用は、同省などによれば総額で年間9000億円近くに上る。多くの健診項目が「実施を勧める証拠はない」とされたことで、制度の見直し論議は高まりそうだ。

via: 「項目の大半が有効性の証拠薄い 厚労省研究班」

記事中のタームを理解していないので、あくまで概要というか、「あぁ、そうか、そんなにも無駄があるのか」程度しか読み込めない。が、それにしても、何が本当なんだろうか? と首をかしげたくなる。

厚労省にとって国民医療費の増加抑制は、刻下の喫緊事。医療費が初めて5兆円を突破したのが昭和49年、その年の増加率が、36.2%。以来、増加率は減少の一途を辿っているが、医療費そのものは、右肩上がりを続けている。現在の国民医療費は約30兆円。2025年には49兆円を突破、65歳以上にかかる医療費の割合は6割以上との試算もある。

よって、今回のまとめが、「見直し・削減」を目的とした医科学的弁証であると頷ける。じゃぁ、なぜもっと以前に検証できなかったのかと批判するのは簡単だけど、後の祭り。

むしろ、どうすればこれらの情報の本質を、自分のような医療情報に精通していないレイピープルに伝えられるかを思案した(参照)。

たとえば、テレビ報道したとすると、「受けても意味がない!? 今の健康診断!」とか「厚労省の怠慢!健康診断を斬る!」とか、ワイドショー的トピックスに祭り上げられるのじゃないかな。まぁ、テレビ報道不信が根底にあるから、さっぴかないといけないけど 😛

記事によれば、有効と評価された(条件付き含む)のは、以下の項目。

  • 「血圧の測定」
  • 「飲酒・喫煙の問診」
  • 「身長・体重の測定」
  • 「糖負荷試験」
  • 「うつ病を調べる問診」

一方、健診項目に厳しい判断を下した項目をいくつかピックアップすると、

  1. GOTとGPT、γGTPの値を調べる肝機能検査
  2. 肺がん検診としての有効性を支持する証拠はない胸部エックス線(レントゲン)検査
  3. 心筋梗塞(こうそく)の予防などに役立つとの証拠はない心電図の測定

さらに、健診のマイナス面の検証有無まで指摘されている。

あまり意識されないが健診にはマイナス面がある。放射線による発がんの増加、病気の見落としによる治療の遅れ、治療不要な病気の発見による不要な検査・治療の副作用、膨大な費用などだ。健診実施には、マイナスを超える効果があるかの検証が欠かせない。

仕事柄、歯科医とお話する機会が多いため、「暖簾に腕押し」のような医療消費者がいる実態も承知している。すべての人に、「予防や健診」の重要性を訴求するのは難しいだろうし。

  • 何が不必要で、正しくは何が必要か?
  • 年代別、性別など対象者別に必要な項目は何か?
  • 健診結果に安心するのではなく、健診結果を検証する方法は何か?

「個人的には、健診の実施対象は一律無差別ではなく、医学的に必要な人に絞る方がよいと考えている」(厚生労働省労働衛生課阿部重一課長)と評せられるように、「公平と効率のトレードオフ」的思考の導入も必要ではないかと思う。

ぶっちゃけ、「労働安全衛生法で義務づけている健診は、病気の予防や死亡率低下につながる効果は、あまり期待できません。だから、可能な限り、各医療機関が実施する”人間ドック”を受診してください。」みたいなキャンペーンをはったらどうなるだろうって妄想とかもした。人間ドック補助金の拡充と健診の削減とか!?暴論であることは了とするけど、政治的・人権的論説はいかほどかな。

と、下手な考え休みに似たりの具合で伝える側の視点で書いてきたけど、当の本人は、受け取る側なわけで。「どうすればこれらの情報の本質を伝える」のではなく、「見抜ける」のかという「問い」を設定するほうが、「答え」を発見しやすいかな、やっぱり。う〜ん、堂々巡り…..orz


Comments

“健康診断って何が本当か?” への2件のフィードバック

  1. はじめまして。
    寸胴鍋と申します。

    定期健診について検索しておりまして、貴サイトにたどりつきました。
    まったくなんのための検診んなのでしょうかね。
    あれほど、献身的に受けてきたのに。
    ではでは。

    TBダブりました。削除ください。

  2. はじめまして、寸銅鍋さん、コメントありがとうございます。また、TB重複のご連絡をご丁寧にありがとうございます。

    ホント、おっしゃるとおりですね。なんのための健診か考えさせられました。寸銅鍋さんが指摘されるように、必要最低限の項目を提示してもらって、その他の有効項目をオプション形式で選択するなどもいいのではないかと思いました。

    まずは本当に必要な項目は、何なのか?実施されていない健診も含めて知りたいですね。