ビジョナリーカンパニー式総選挙2005

名著と謳われるビジネス書は、数多くある。「世界で最も重要なビジネス書 世界標準の知識ザ・ビジネス」に目をとおすと、「なるほど、自分はわずかしか出会ってないなぁ」とため息が漏れるけど、ハァ。なぜそうまで絶賛されるかは、精読してみてみると合点がいく。ナルホド、原理原則か。普遍的価値が隠然と存在し、それを破壊して創造する温故知新。

なかでも、ビジョナリーカンパニー2は、何度読んでも飽きない。拾い読みしてもよし、熟読してもよし、とにかく肌にしみこませる作業を厭わない。

そんなわけで、ビジョナリーカンパニー2の法則を今回の総選挙に突き合わせみると、興味深い。まぁ、左辺はマネジメントにまつわるビジネスの法則、右辺は魑魅魍魎とした清濁併せのむポリティクスの法則、それをイコールしようなんてナンセンスを諒せられたい(笑)

あらすじはスルーして、この著作の優れた点の一つに、客観的データから検証した結果があげられる。いわば、感覚的経験則の記述ではなく、あくまで科学的アプローチした点。では、ビジョナリーカンパニーとは?時代を超えた成功の法則とは?

  1. 野心は会社のために-第五水準のリーダーシップ
  2. だれをバスに乗せるか-最初に人を選び、その後に目標を選ぶ
  3. 最後にはかならず勝つ-厳しい現実を直視する
  4. 単純明快な戦略-針鼠の概念
  5. 人ではなく、システムを管理する-規律の文化
  6. 新技術にふりまわされない-促進剤としての技術
  7. 劇的な転換はゆっくり進む-弾み車と悪循環


この1-7までのフレーズだけでも、ある意味ドキッとさせられる言葉が含まれているから、奥が深い。

なかでも今回は、2.の「だれをバスに乗せるか」にフォーカス。この2.の要点は、

  • 適切な人をバスに乗せ、不適切な人をバスから降ろし、つぎにどこへ向かうを決める。
  • 「だれを選ぶか」とまず決めて、その後に「何をすべきか」を決める。
  • 最善の答えを探し出すために活発に議論し、方針が決まれば、自分が担当する部門の利害を超えて、決定を全面的に支持する人たちで構成される。
  • 「人材こそがもっとも重要な資産だ」という格言は間違っている。人材は最重要の資産ではない。適切な人材こそがもっとも重要な資産。
  • 「適切な人材」とは、専門知識・学歴・業務経験より、性格と基礎的能力によって決まる。

個々の説明は割愛するけど、文章からおおよその意はくみ取ってもらえるのでは!?なるほど、こうやって眺めると、小泉首相の政治手法もフムフムと読み解ける。特に、微笑んでしまうのは、「適切な人をバス」にのせること。そして、それから「何をすべきか」を決めること。

まぁ、選挙において「何をすべきか」が決まっていなければ勝てないので、これについては適切でないかもしれない。それでも、「最善の答えを探し出す…」のくだりなんか、まさに我が意を得たりと快哉を叫びたくなるんじゃない(ぉ

うろ覚えだけど、今回の一連の小泉首相の政治手法について、ブログを徘徊すると、リーダーシップを発揮していると評するエントリーが散見される。なかでも、経営者ベンチャー企業に携わっている人に多いかと。

一方で、「安政の大獄」と批判する人にも耳を傾けると、どうしてもビジネスマインテッドな思考中心の自分は、自分党内賛成派と民主党の一部に軍配。まぁ、ここがミソであり、このねじれをなんとかしてくれってムンクの叫び。

う〜ん、自分が、政策や法案について勉強不足(というよりも無知に近いか)なシナジー効果もあって、自民党内反対派の「先」が見えない。「保証」しろという叫びも、なんでって?ビジネスに保証はないって思っているし。ただ、賛成派の見解のなかで、納得いかないのは「出口戦略」が不明な点。新規事業参入には、必ず設定する「最悪を想定した撤退戦略」かな。

すったもんだ自問自答しながら、こうやってビジネスの名著と選挙をオーバーラップすると、なかなかオモシロイ。