確かインターネットで初めて見たサイトは…..

もう10年前になるかな、ブラウザがIE4とかNetscape4の時代。PCかAppleかもわからずに、大学でインターネットの扉をあけた。「インターネットってナニ?ホームページってナニ?」の状態で。コンピューターに全く興味がなかったし。

初めて見たサイトは、確かアメリカの美術館。最初、ルーブル美術館へのアクセスを試みるも失敗。その後、検索をかさねて偶然、アメリカの美術館にたどり着いた。サイトを見た瞬間、腰が抜けた。

ウェブサイト全体を美術館に見立て、入口から館内へとエスコートする。ただし、今のようにFlashの技術が発達していない時代だから2Dだ。画面上に一枚ずつ絵画を表示させ、英語の解説文が掲載されていた。

「すげえ、とんでもない世界がやってくる」って武者震いした。海外へ行ったことなんてなかったし、アメリカはテレビの中の世界。ところが、その美術館のウェブサイトに遭遇した瞬間、頭の中で距離がなくなった。

念のため誤解がないように付け加えると、「ああ、現地へ行かずに世界の美術館に訪問できるんだ」って思ったわけじゃない。

その逆で、「ああ、現地へ行ってみたい。これら絵画をライブで楽しみたい」って渇望した。まるで、今まで知らなかった世界を知るためのドラえもん四次元ポケットを手にいれた感じかな。

というのも、当時の僕は、アメリカといっても正直ピンとこなかった。地図を見たりしても、「フ〜ン」って程度。地理が苦手だったせいもあるかもね。だから、地図を眺めていても頭の中はいつまでも2D。+α距離不感症。

お恥ずかしい話、それまでは「無知の知」を自覚する程度で、そこから先へ進まなかった。それを、3Dにしてくれたのがインターネット。

ウェブサイト+マップ+イマジネーション=3D

そう、「何かがつながった」って唸った。別々の位置にあったイベントやカテゴリーがリンクし始めた。リンクによって、新たなイベントを模索できたし、立体的映像が妄想できるようになった。結果、「問い」が次々と浮かんだ。「絵のディテールは?この美術館の近辺は?町の様子は?何を食べているの?」。

そうなると、「答え」を発見する作業に移れる。「答え」が新たな「問い」を産み落とし、また「答え」を求める。そのサイクルができあがると、楽しくて仕方がない。「答え」を探求する手段は一つじゃないから、他にもメソッドがないかと、混沌に浸かりたくなっちゃうし(笑)

僕の中に「百聞は一見に如かず」を根付かせて、「現場を見てみないとわからんわ」というビジネスのスタイルを確立させたのが、10年前のこの経験だ。

どんな「無知の知」を獲得できるかが、インターネットの世界。その入り口にある”検索”のクリエイティビティ。「ああ、自分は全然知らないんだなぁ」ってかみ分けたときから、現地を訪ねたい熱望が始まるんじゃないって思う。

インターネットは、いよいよWEB2.0の世界へと向かいつつある。今までの静止画+文字のHTMLから動画+音声+文字のHTMLへと変貌しようとしている。そうなると、美術館のサイトも、もっとエキサイティングになるかもしれないな。

それでも、見えるものは視覚と聴覚を刺激する「対象物」だけじゃないだろうか。絵画がかけられた壁の素材や天井の具合、建築方法、匂い、温度といった嗅覚や触覚(味覚はダメかなぁ!?)を刺激してくるのはライブだから。

ライブへの道しるべとしての役割を、インターネットWEB2.0が果たしてくれるならワクワク。