nikkeibp: 入門「ブログマーケティング」事例2:ソニーマーケティング
ハイビジョン画像を手軽に撮影できるソニーのデジタルハイビジョン・ビデオカメラ「HDR-HC1」。ソニーマーケティング(本社:東京都港区)はこの発売に先立って、複数のブログを組み合わせた「HDR-HC1」のポータルサイトを立ち上げた。デジタルハイビジョンが持つ新しい商品価値を読者に伝えることで、購買層の拡大を目指した。
「ハイビジョンハンディカム わくわく体験プロジェクト」というブログを6月15日オープンさせたソニー。その目的は、「まだデジタルハイビジョン映像のすごさを体験していない一般の方々にも、簡単にプロ並みの高画質な映像が撮れることを伝えるため」です。と言いますのも、HDR-HC1の店頭価格は17〜18万円で、一般のデジタルビデオカメラに比べると高めです。
なぜ高いかは、技術的な説明を読めば、「わかる人にはわかる」程度で、いわばマニアック向け商品にカテゴライズされてしまう可能性がありました。それらの懸念を払拭するために、4人のブロガーを選定して、ユーザーの視線から商品を伝えるためのブログポータルサイトの構築を考えたそうです。
今回の記事にあるブログの開設経緯から反応までのくだりは、他でも散見されるインタビュー記事ですので、正直、あまり興味深いところはありません。ただ一つだけ個人的には非常に重要なくだりだと思う箇所を長くなりますが、引用します。
「HDR-HC1に内蔵される時計の設定の仕方や、メモリースティックの使い方など、撮影以外の機能や操作にブロガーが慣れ親しんでいく様子などもレポートされる。ユーザーの視点で疑問を解決していく姿を等身大で伝えるのは、ほかのメディアでは実現できなかったことだ」(中略)
「メーカーは、ハイビジョンという技術面の特徴を『売り』として語ろうとする。しかしブロガーの人は、『ああこんなに綺麗だから、将来も安心して残せるね』、『だから子供の映像を今残すことに意味があるんだ、ハイビジョンっていいね』という気づきのステップを踏む。分かりやすい言葉や体験でリーチを広げてくれる彼女たちの発言は、メーカーのカタログでは伝えられないものだ」
- ユーザーの視点で疑問を解決していく等身大の姿
- ハイビジョンで映像を残す意味の気づき
特に、2.は、読者の意識・無意識にかかわらず、「購買のスイッチがはいる」ポイントだと思います。技術の説明は必要ですが、それらは、「機能があるのかどうかの確認」や「他社製品との違いを比較」するのに便利な程度だと思います。
仮に、ソニーブランドでないとデジタルビデオカメラはダメだという人以外を前提しますと、「自分にとって大切な人やものの映像をいつまでも綺麗に保存でき、いつも同じ品質のまま観られる」価値をいかに訴求できるかが、肝要です。
これらを伝えるのは、今までのモニター的なユーザーではなく、シーンを創造し、一人称の言葉や気持ちを伝え、そして二人称へと共感を呼んでいく、ファシリテーター的役割をこなせる消費者になります。
そして、今後、企業はファシリテーター的消費者に、ブログやSNSなどを使っていかに心地よい場を提供できるかが、ウェブマーケティングの成功につながるのではないでしょうか。