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信長の棺

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信長の棺先の衆議院選挙期間中、小泉首相が愛読していたと紹介され、一躍脚光を浴びた歴史ミステリー。著者の加藤廣氏は、現在75歳。中小企業金融公庫の調査部や山一証券の経済研究所顧問などをへて、経営評論家に。今作が文芸分野の作家転向の初書き下ろし長編という異色の経歴。2005年8月24日時点で第五刷、現在は九刷11万部のヒット作品。

信長の棺 加藤 廣 (著) 日本経済新聞社

ミステリーなので、ネタばれになっちゃいけないので、ストーリーは書かない。以下アマゾンの内容紹介より。

本能寺の変後、信長はどこへ消えたか——。日本史最大の謎に挑んだ本格歴史ミステリー。光秀謀反にちらつく秀吉の陰謀。阿弥陀寺の僧侶が握る秘密の鍵。そして、主人公・太田牛一が最後につかんだ驚愕の事実とは。

太田牛一は、ご存じ信長唯一の伝記『信長公記』の作者。この牛一の目線から日本史最大の謎を解きほぐしていく。

個人的な感想は、一気読み。めっぽうオモシロイ。"牛一"という切り口もさることながら、今までの定説・異説、登場人物の一般的な人物像をにべもなく壊していくさまは小気味よい。

独特の文章展開を支えているのは、作者が膨大な資料にあたったからではないかと、推測しながら読んでいた。そして、巻末の参考文献とあとがきに目を通して得心。

人物にくわえて、土地・名産・神社仏閣・文化・芸術・南蛮など、描写は多岐にわたっているし、詳細で卓越している。それが専門的でなく日常的な風景にとけこんでいるから、次へ次へとめくる速度がどんどんはやくなる。

そして、個人的に気に入ったのが、登場人物を「歴史的美化」していないところ。言葉は悪いけど、登場人物はみなそれぞれ生臭い。

歴史に「もし」はタブーだが、「なぜ」はいいかといった感じで、史実に「なぜ」を投げこみ検証していく筆のさえ具合を存分に楽しめた。

そして、織田信長は当時の朝廷と天皇制をどう考えていたのか—この難しい題目に加藤氏はあえて挑んでいる。信長を盲目的崇拝していた牛一に、自分なりの見解を代弁させていくあたりを読むと、小泉首相が、織田信長の思考と選挙中の自身をオーバーラップさせて愛読したのではないかと邪推して読了。

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