宮崎駿監督インタビュー映像Powered byほぼ日刊イトイ新聞

ほぼ日刊イトイ新聞 – 宮崎駿監督、おおいに語る。

糸井重里さんが冒頭の挨拶で述べられているが、宮崎駿監督はインタビューの受け答えが苦手なようだ。この挨拶をとばしてインタビュー映像から先に見ても、「なんか嫌そうに答えていらっしゃるなぁ」と雰囲気から読み取れる。

その雰囲気が質問する側に伝わっているせいか、手探り状態の序盤がオモシロイ。インタビュー術を学ぶいい材料になるかも:’-)

ただし糸井さんの挨拶によると、今後の連載の後半ではだんだん熱を帯びてきて、情熱のこもった、語りかけるような”しゃべり”になるそうだ。とても楽しみ:-)

以前糸井さんのある本を読んで、とても印象に残ったシーンを引用(少し長め)。

———-引用開始———-

糸井: こないだ、あるクリエイターの仕事話を聞いたことがあって、たまげたんです。そのクリエイターは、朝の九時に仕事場に来て、そのまま黙って仕事をして、朝の四時に帰宅するんだそうです。毎日。

池谷: 仕事時間が長い!

糸井: だいたい、仕事以外の時間が五時間だよ!?

二食ぶんのお弁当を持ってきていて、食事には15分しかかけないそうです。昼に半分食べて、おなかが空いたらもう半分食べる。あとはひたすら仕事をしているんだって。しかもその人は仕事をやりはじめてから二十四年間、風邪はもちろん、あらゆる病気にかかったことがない・・・・・。熱も一度も出してないって聞いて「何だ、そりゃぁ!」と思った。お正月は一月二日からふつうに仕事場に来ていて、社員が風邪をひくと怒るんだそうです。

その人がつくるものは、確かに、本当にものすごいんです。ただ、そのものすごさが、彼の周囲の死屍累々というか、過酷な仕事場の中から生まれてきているのだとは、ふつうわからないですよ。

手際のよさや整理のうまさなんかじゃなくて、九時から四時まで仕事をせざるをえないぐらいの「強烈な動機の塊」みたいなものが、トップクリエイターの根っこにあるチカラなのかなぁ、と思うのです。やりすぎてしまった人が、天才なのだというか。

仕事をやりすぎちゃった人のオーラというか、ものすごい動機の塊から湧き出てしまう「名づけようもないすごさ」については、何か今、ちょっと話題にしておきたくって。

『海馬―脳は疲れない』 P.262

———-引用開始———-

もうお気づきのようにこのクリエイターが宮崎駿監督。今までの監督自身の映画とは比較にならないぐらいの映像情報量をもつ『千と千尋の神隠し』を、わずか2年間で仕上げてしまった原動力がここにある。

九時から四時が本当かどうかなどわたしには瑣末なことであって、「やりすぎちゃった動機」に強烈な興味をもった。それが少しでも今回のインタビューから拝見できれば吉;-)