ウェブサイトを通じて想像する

自分の無知についての知識の続き。

先日、ある会社のミーティングに出席しました。サイト開設後、はじめて開催された会議で、内容はサイト更新の打ち合わせです。出席者は各部門の責任者でわたくしをいれて計6人。

そして、打ち合わせが進行するにつれ、奇妙な感覚につかまりました。それは、

「サイト運営の当事者(各部門の責任者)が、当事者でないような」

感覚です。

つまり、「目の前にあるサイトを他者が閲覧したときに、”何を考え”、”何に不自由さを感じ”、”何を求めている”のか」という視点が抜けて落ちているというのでしょうか。

少し厳しめな言い方ですが、「自分が顧客であるならば」という想像力を働かせることなく、

  • 「表現や画像」などに注意が向けてられてしまっている
  • 自分が発信したい情報と読み手が受信したい情報を峻別していない

わけです。

その様子を眺めたわたくしは、「自分はサイトを制作してその中身や設計、操作性(欠点も含めて)を把握している。しかし、出席者のみなさんはホームページとは一体何ぞや風にとまどっているかもしれない」と推察しました。

もしそうならまず前提を共有しないといけないわけです。その前提とは、

「ウェブサイトは手段であって目的でない。そしてこのサイトの目的は”新規顧客を集客する”・”既存顧客に価値創造を訴求する”ことにある」

そんなもんサイトを制作する前に決めることだろ———-と批判を受けますが、不思議なことに、「サイト制作前に合意形成した目的」が「サイト制作後に忘却され」てしまい、浮き足だってしまう時もしばしばです。

だからこそ改めて質問させていただきました。

「このサイトを見て、行動を起こして欲しい顧客は誰ですか?」

この場合、かなり具体的な顧客像を想定しています。実際の既存顧客をイメージしていただいても、新規顧客でもどちらでも結構です。

この問いに対する解を出せたとき、前回のエントリーで述べた「自分が何を知らないかについて知っている」になるのではないでしょうか。この打ち合わせで例えるならば、「ウェブサイトを見て欲しい顧客について、自分は何も知らないこと」を自分が知ったとき、はじめて以下のような想像力が働くのではないかと思います。

その顧客は、

  • どんな経営をしているのか?
  • 何を悩んでいるのか?
  • 求めている人材は誰か?
  • 何に興味があるのか?
  • どんな生活をしているのか?

これらの問いが、『やがて「仮説」になり、次なる「対策」を生み出し、それを実践してみた結果、効果を「検証」するサイクル』を構築します。

はじめの一歩、「自分が何を知らないかについて知っている」という視点を忘れずにウェブサイトについてミーティングしなければならないと教訓になった次第です。