"一声かける"と気づかせる難しさ

—–ファーストフードでコーヒーをオーダーされたとき、"ミルクとシロップはいかがなさいますか?"という"一声をかける"ことだ

昔何かの本で書かれていた(正確に引用したいが、どの本にあったのか記憶にないので)。結論としては、この「一声をかける」ことなく、"ミルクとシロップ"が自動的に付与されたときのコストが、全体でどれぐらいになるのか?という話だった(ような気がする)。

今日、三宮のクライアントへ訪問する前に寄った本屋で久しぶりの光景に出会った。わたしがレジで本を差し出すと、紙のブックカバーがかけられる"さま"である。「カバーはどうされますか?」の一声はもちろんない。

だから、顧客が逃げていく!―買う気をなくさせるサービスとその撲滅法一声かけることなく付与される紙カバーの総コスト(店舗数×年間)は、一体いくらになるのだろうかと試算するよりも、「一声かける」ように人材を育成するほうがはるかに難しく、かつそのコストは簡単に算出できるコストではないのだろうなぁと愚考を重ねた。

「顧客を逃がす瞬間」と闘うことの意味を、大部分を従業員にわからせなくてもいい。顧客に仕えることが企業の最優先事項であること、そして従業員はそうしたサービスの提供に欠かすことのできない存在であることをはっきり表明できれば、それで十分である。どうすればそうしたサービスができるかを彼らに示そう。彼らに現状を理解させ、あとは彼らが実力を発揮してくれることを信じよう。『だから、顧客が逃げていく!―買う気をなくさせるサービスとその撲滅法』 P.227