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「紫の牛」を売れ!

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「紫の牛」を売れ!マーケティングには5つ(以上)の「P」がある。マーケターの好みによってその5つは違うが、だいたい以下のようなものがあげられる。製品(Product)・価格設定(Pricing)・プロモーション(Promotion)・位置づけ(Positioning)・宣伝(Publicity)・パッケージ(Package)・広告(Pass-alog)・許可/承認(Permission)。著者のセス・ゴーディンは、本書で新たな「P」要素を加える。それが、「紫の牛(Purple Cow)」だ。

牛というのは、しばらく見ていれば退屈するものだ。申し分のない牛もいれば、魅力的な牛もいる。素晴らしく個性的だし、つややかで美しいけれど、それでもやはり退屈するものだ。しかし、「紫の牛」がいる。それなら興味を引くだろう(しばらくは・・・・・)。「紫の牛」のもっとも重要な点は、常識破りだということに違いない。実際、もし「常識破りな(remarkable)」という言葉がPで始まっていたら、牛を持ち出すまでもなかっただろうが、こればかりはどうしようもない。本書は、なぜ、何が、どのように常識破りかということを述べたものである。「紫の牛」を売れ! P.11

セス・ゴーディンは、「紫の牛」のPについて、マーケティングの最後につけ足すのではなく、「製品やサービスそのものが常識破りでなかったら人の目には入らない」ということを理解せよと忠告している。

なぜなら、宣伝(テレビコマーシャルをはじめとするマス・マーケティング)がヒット商品を生む時代は終わり、今は多くの類似商品(=選択肢)があふれているから。ある商品が数種類しかないという選択肢の少ない時代ではない。ふつうの消費者は売り出されている製品をほしいと思わない。反対に、選択肢が多くて選ぶ時間もない。

そこで、「紫の牛」—–非凡で、目新しくて、興味深いもの—–によって、製品やサービスへ注意を払ってもらえと指摘する。注意を払う価値をつくりだすマーケティングが求められている。

紫の牛14を引いてみる。フランス・マクドナルドは、「週二回以上は食べないほうがいい」と正直に公言した。その広告は世界中の反響をまきおこし、長期的な成長戦略の基盤をつくった。マイナス面を認めることで、従来なら望めなかった顧客をつかんだ。

「紫の牛」は、ニッチ市場を狙わなくてはいけない。小さい市場だからアイデア・ウイルスが広まりやすい。アイデア・ウイルスとは普及するアイデアのこと。常識破りなアイデア(新製品)、つまりブランドである。

そして、スニーザー(=くしゃみをする人)がそのウイルスを広めてくれる。同僚や友人、同類のスニーザーに新製品や新サービスをしゃべりちらす。スニーザーは、ニッチ市場にも必ずいる。日本でいえば、「オタク」がそれに属する(類する)。

普及するアイデアを生むには、巨大市場の万人向け製品をつくってはいけない。巨大市場のスニーザーは、現状の自分に満足しているから新製品になかなか関心をよせない。

したがって、ニッチ市場にいる貪欲なスニーザーをふり向かせるような製品やサービスをしぼりだし、宣伝をやめ、イノベーションをはじめるべきだ。もし、アイデア・ウイルスの普及が成功すれば、やがて一般大衆にも広がっていく。

本書は、「奇をてらった・奇抜な」マーケティングを説いているのではなく、「好きこそものの上手なれ」という発想に着眼している。「突飛=常識破りではない」「マーケターはデザイナーであれ」「マーケティング費用(マス・マーケティングへの投資)は製品開発につぎ込め」などを読むと、著者の「常識破りな好きこそ」を実感する。

そして、なによりも本書自体が、書籍のなかでの「紫の牛」であり、もし、書店で奇妙なカバーとタイトルが目につけば、思わず手にとってしまいたくなるほど、「目立って」いる。

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