高い理由を書いてない

失われた「売り上げ」を探せ!―商売繁盛の大冒険本日の「恵俊彰のディア・フレンズ」(TOKYO FM)に,小阪裕司氏がゲストとして登場されました.ワクワク系マーケティングの話をされるのか楽しみにしていたところ,やっぱりいくつかの話にウンウンと頷いてしまいました(笑)

要約すると,「高い理由が書いてあるお店は少ない」ということです.ある魚屋の"秋刀魚"をたとえに説明していました.その魚屋さんでは,素人には同じ大きさに見える秋刀魚を,二つ並べていました.もちろんそれぞれ値段は違います.

すると,なぜか高い秋刀魚が売れるのです.

理由は単純なのですが,「同じ大きさに見える秋刀魚なのに,なぜ高いのか?」を,ご主人が丁寧に説明されるからだそうです.

価格に目がいくお客さんは,「安い」というのは,理由があるから「安い」,放言すれば,「安い」から「安い」と納得します.場合によっては,自分で"理由をつくって"しまいます.

魚屋さんのように,「対話ができる」お店であれば,「高い理由」が書いてなくても,説明を聞いてくれるようにしむけられますし,それがご主人の腕のみせどころです.

この話をウェブサイトに置き換えるとよくわかります.「なぜ,高いのか?」という疑問がユーザーにうかんだとき,「ユーザーの利益」という視点から理由を説明していないサイトを見かけます."商品説明"ではないですよね.

小阪氏によると,ワクワク系マーケティングの実践会で,「高い理由」を書くなり,説明するようにしたところ,売上が倍増したという企業もあるそうです(笑)

このへんは,量販店の店員さんと話をしていても,ピンとくるのではないでしょうか?そのとき,自分ならどう説明すれば,自分を購入させる気になるかって考えながら,話を聞いてみると,おもしろいかもしれません.

彼らが売っているものは,「価格」なんです.商品ではなくて,値段を売る商売になってしまっているんですね.自分たちは商品を売っていると思っているんです.やっている人たちは全然気付いていないわけですが.自分たちは,パソコンを売っているつもりとか,冷蔵庫を売っているつもりなんだけど,実は価格を売っているわけですね.「この値段だから買ってください」「安いから買ってください」,そういうことしかお客に言っていない.『失われた「売り上げ」を探せ!―商売繁盛の大冒険』 P.37