WBCのカメラワークからサイト設計を学ぶ

WBCの決勝にかじりついてピピっときたコンテンツ。

  1. ハンク・アーロンと王監督のツーショットという演出
  2. デビッドソン審判のジャッジのたびにスローが流れるESPNのアイロニーな演出
  3. 日本ベンチの躍動感を伝えるカメラワーク

試合も気になったが、むしろ目の前にある世界一のコンテンツを伝えるフレームワークに目を奪われた。なかでも日本ベンチの"ライブ"をとらえるカメラワークが印象に残る。

  • ファインプレーのあと、ベンチで座る川崎選手の顔
  • エラーのあとに川崎選手を出迎えるナインの様子
  • 西岡選手が川崎選手の顔をグリグリしているシーン
  • その直後、川崎選手が自分の頭をポコポコ何度もたたいている映像
  • 福留選手のタイムリーでホームインしたあと、イチロー選手がベンチの誰かを指さしながらもどるカット
  • 王監督の逐一のパフォーマンス

まぁ、あげればキリがない。とにかく国際映像の妙に魅せられた。ベンチや観客にパンを切り替えるにしても、少し引いた「ベンチ」を撮る画像ではなく、「人」そのものにフォーカスし、「アップ」にする。全員をフレームのなかにいれようとしない。誰かに照準をさだめる。とても躍動感がある。観客をとらえるときも同じ。スコアボードや物体もしかり。

望遠とマクロの使い分けがとても勉強になった。これをサイト設計にトレースしたらどうなるだろうって考えながら観ていた。

強引だけど、グランドがウェブサイトで、ベンチがブログか。グランドが商品やサービス、企業情報の紹介。一方、ベンチはというと

  • 誰が作っているのか
  • どんな会社が開発しているのか
  • どのような雰囲気で提供しているのか

を伝えるブログではないかと愚考した。別にブログでなくてもいい。ウェブサイトのなかで、「表情」を伝えるカテゴリーを設定してもよい。とにかくグランド(=表)では見えない心情を感じとってもらい、夢中にさせるようなページ。

グランドの一挙手一投足を、ベンチや観客はどう感じとっているのかをカメラが追いかける。グランドが製品なら、ベンチは工場、観客は消費者、その構図がストレートに映し出される。ウェブサイトを制作するときも、カメラマンの機能が必要なのだと改めて納得した。パンフレットではない、ライブを撮影できる人。

どうも興奮さめやらぬでハチャメチャなテキストになっているが、文字ではわからない映像の説得性、百聞は一見にしかず。

メダル授与のときイチロー選手にだけ長く話しかけていた大会主催者や、イチロー選手と記念写真を撮っているキューバの選手を眺めていると、「世界」というのはどういうことなのかほんの少し皮膚感覚で理解できたような気がする。

  • 人はどういうときにどのような表情するのか?
  • その表情を観ている自分は、どんな表情に反応するのか?
  • あるカットを映し出したとき、伝える側の意図は何なのか?

まさに興味が尽きない「野球」だった。スポーツのなかでも、外来語が外来語のまま国民に受け容れらず、日本語に訳された「名称」が定着したところがまた興味深い。


Comments

“WBCのカメラワークからサイト設計を学ぶ” への2件のフィードバック

  1. 常に仕事を考えている姿勢には脱帽っす。
    改めて、原点に戻れました。

  2. 背中がかゆくなりますよ、お上手すぎです(笑)

    世界一に感激です。韓国の分もって応援してました(韓国は少しご機嫌ナナメのようですが…..)。でもキューバもすばらしかったですね。

    ルールの不備や開催日程の問題などいろいろありましたけど、「やればもりあがる」のだなぁって、あらためて「やる」大切さを感じました。

    開催前テレビでさんざん批判していた方々が、手のひら返して賛辞のコメントしているのには興ざめですが(笑)