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見える化

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見える化-強い企業をつくる「見える」仕組み本ブログでは、「ビジネス書」に分類される書籍をあまりレビューしていない。理由は、「情報の取得」的要素が濃いと愚生が臆断しているから(へぇ〜で終わってしまう)。ただ、今後は少しでも書けるように努めたい(自分の訓練もかねて)。ということで、まずは本書から。昨年あたりからビジネス誌でよく取り上げられる「見える化」。提唱者の著者が執筆しているので理路整然としている。「見える化とは一体何か?」「何を見える化するのか?」について、多数の事例を紹介しながらわかりやすく解説している。

「見える」ようにするためには、「見せる」意思と行動が必要だ。真の「見える化」の実現は、「見せる化」を推進することであり、「見せよう」とする人づくりがカギになると説く。「見える化」の落とし穴の1つがIT(情報技術)への偏重。「見てくれるはず」という期待を前提にした仕組みを作った結果、見る意思のない人間にとって「見ない化」「見えない化」になってしまう失敗例もある。『見える化-強い企業をつくる「見える」仕組み』

「見える化」の本質は、事実や一次情報を「見える」ようにすることだ。ところが多くの現場では勘違いしている。「意志」を前提にして「見える化」を実践している。「意志」とは、「相手が能動的に”見よう”とするであろう」ということである。

そうではなく、事実や一次情報が文字どおり「目に飛びこんでくる」状態をつくり出さなければならない。見せたくないものを「見える」ようにする。隠れているものを「見える」ようにする。「見えている」から出発するのではなく、「見えていない、まだまだ見えていない」を考えるのである。

「見える化」の目的は、強い現場(=現場力)をつくることだ。現場力とは、以下3つの条件が揃っている状態をいう。

  • 問題解決に対する「当事者意識」
  • 高い志による「優位性構築」
  • 全員理解・参加の「組織能力」

そして、これらの条件が揃うためのキーワードが、「問題」である。そもそも企業活動にとって「問題」とは何か?これを定義しなければ現場力が養成されない。

強い現場とは、「問題解決型企業」とも言えるが、それにはなによりも現場が能動的に高次元の問題を設定する「問題設定能力」を磨く必要がある。問題設定能力を磨くために、「問題」を「見える」ようにするのである。

本書は3章で構成されている。

  • 第1章 「見える化」とは何か
  • 第2章 「見える化」の体系化と事例紹介
  • 第3章 「よい見える化」を実現するために

個人的には第2章がとても参考になった。「見える化」を体系化していくプロセスが、明晰な文章で語られていてわかりやすい。「見える化」の概念は、次の5つに分類される。

  1. 問題の見える化
  2. 状況の見える化
  3. 顧客の見える化
  4. 知恵の見える化
  5. 経営の見える化

この5つの見える化を構成する要素がまた細かく定義されており、その要素を説明するために事例が付与されている。例えば3.の場合、さらに2つの要素で構成される。

  1. 顧客の声を見える化
  2. 顧客にとっての見える化

事例として病院をとりあげている。早稲田大学ビジネススクールの遠藤研究室が、関東地方の約1,000の病院を対象に行った実態調査だ。その結果によると、多くの病院では、「顧客の声を見える化」するシステムは持っていても(機能しているかどうか別)、「顧客にとっての見える化」が実現されていないことが明らかになった。

愚見を申し述べると、本書の目次を熟読したときに、「目次自体が”見える化”になっている」と感じた。構成がロジカルでありながら、自分が調べたいときにサッと引けるような感覚も残している。

一度通読してから現場に手元においてことある毎に引いてみたくなる一冊だ。

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