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考える技術・書く技術雑感

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考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則のレビューで次のように書いた。

正直、「頭がかしこく見えるホニャララ」といったベタな薄い本をさっと読むよりも、本書を通読・精読し、辞書代わりに拾い読みしたほうが、期待しうる成果を生み出せると思う。

その理由は3つ。

  1. フレームワークを定義している
  2. 論理の概要をおさえている
  3. コンサルタントに必要な能力が言外に含まれている

1.フレームワークを定義する

自社分析を例示する。自分の会社を分析するとき、「何から分析すればよいかわからない」状態がありうる。対処法として、数あるフレームワークの中からSWOT分析を採択したとする。その結果、S・W・O・Tに分類して要素を検討できる。さらにそれらの分析をもとにスキャンする範囲を広げられる。

ひとつのフレームワークの概念と基礎を押さえれば、十分に「考える」ことができる(*1)。反対にいくつものフレームワークに手を出して、「練習のための練習」になってしまえば、目的と手段が本末転倒してしまう。いいかえれば、アウトプットした字面に満ち足りてしまう。「何をすべきか」を考えるために必要な「道具」であると忘れてはならない。

"頭がかしこく見えるホニャララ"本は、いくつものフレームワークを紹介する。あまたのメソッドを手に入れて嬉々とする。そして、いざ考えはじめるとうろたえる。なぜなら、使い方を教わっても、「なぜ使うのか」を理解していないからだ。まるで、数学のテストの時間に頭の中が真っ白になってしまうような気分だ。教科書から「ちょっとずらして」出題されるとお手上げである。解き方を丸暗記している自分に凹。

2.論理の概要をおさえている

表題からわかるように、「技術」にフォーカスがあてられている。「思索」といった類ではない。では、「技術とは何か?」という疑問がよぎる。"頭がかしこく見えるホニャララ"本は、この疑問に答えていない。「トレンドカラーを羽織れば、あなたもカッコよく見える」カタログである。

「考える技術・書く技術」と"頭がかしこく見えるホニャララ"本の違いは、「技術」の説明にあると思う。「考える」ための「技術」を解説しようとすると、おのずとアカデミックなロジックの用語も頻出する。これらの用語を援用して「技術」を説明するとき、

  • 難しい単語を用いて、わかりやすく説明する
  • 難しい単語を抜いて、わかりやすく説明する

のとでは千里の径庭がある。前者は、知識を伝達したうえで、より高度な次元へと導いていこうとする。後者は、情報を列挙したうえで、鵜呑みさせようとする(*2)。「考える技術・書く技術」が長じているのは、難しい単語を用いて、「技術」をわかりやすく説明した点にある。専門用語を並び立てた専門家にしかわからない難解な文章ではない。考えるための「技術」に必要な"原子"がある。

3.コンサルタントに必要な能力が言外に含まれている

「コンサルタントに必要な能力」と放言したのは、愚生の偏見である。とまれ「縦軸と横軸を設定できる能力」を嗅ぎ取れる。ある事象を分析するとき、求められる能力は、「縦軸に○○、横軸に××」を設定できるかどうかだと愚考する。たとえば、以下のテーマとフレームワークがある。

  • テーマ: 「来院者の分析」
  • フレームワーク: 「縦軸に地域別(遠近)、横軸に世代別(老若)」

4つのマスに従って検討し、アウトプットできる。ポイントは、「地域別」と「世代別」を自ら設定できるかどうかである。この縦軸と横軸が間違っていれば、テーマからはずれてアウトプットされる可能性が高い。

「縦軸と横軸を設定できる能力」が、課題設定(=WHAT)であり、「アウトプットされた事項を解決する能力」が、課題解決(=HOW)でなかろうか。

"頭がかしこく見えるホニャララ"本は、HOWがもりこまれているから重宝がられる。重宝がられる理由は、「縦軸と横軸が設定されている」という前提で書かれているからだと推察する。この前提を設定してしまえば、「難しい単語を抜いて、わかりやすく説明」しやすくなる。

一方、「考える技術・書く技術」は、WHATを磨くために必要なプロットとしてピラミッドに絞っている。そのうえで、ケーススタディからライティングを説明したり、ロジックを解説している。これらのケーススタディを理解しようと没頭せずに、俯瞰してみる。すると、「縦軸と横軸の設定」に要求される「考える・書く」がおぼろげながらも浮かび上がってくる。

以上、3つの点が、「考える技術・書く技術」を精読したほうが、期待しうる成果(*3)を生み出せると判断した理由である。

最後にドキッとしたところを引用。

わかりやすい文書を書くキーポイントは、筆をとる前に各々のメッセージをピラミッド型に並べてみて、3つの鉄則と照らし合わせてみることです。鉄則がひとつでも破られていれば、それは考え方に欠陥があるか、メッセージが十分に練られていないか、関連づけがまずいということを意味します。これでは読み手にメッセージがうまく伝わらないかもしれません。3つの鉄則を満たすまで、自分の考えをもう一度練り直す必要があります。『考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則』P.17


  • (*1)筆者のような戦略系コンサルタントのノウハウは、フレームワークの質と量をどれだけ保有しているかに左右されるのも。
  • (*2)もちろん、読み手に責任がある。
  • (*3)読み手が本書に求めた動機と実践結果。Logic in Writing & Thinkingの実践結果。
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