review

トム・ピーターズのマニフェスト2 リーダーシップ魂

Leave a comment

トム・ピーターズのマニフェスト(2) リーダーシップ魂。トム・ピーターズのマニフェスト4部作の第2弾。第1弾につづいてすばらしい。組織とリーダーシップについて”トップダウン”や”ボトムアップ”に拘泥する論が散見される。愚生も昔はそれらの論になびいていが、ゴミ箱にドラッグ&ドロップした。予定調和と制度は大切だけどちょっぴり中指をたててみる。本当の「リーダーシップ」とは?リーダーと女性とは?人と才能とは?人とブランドとは?第3弾『タレント魂』への布石。狂気と混沌の時代よ、ようこそ!経営グル、トム・ピーターズが熱く語るリーダーシップ魂。

リーダーシップ、それは快楽だ!身の毛もよだつ恐ろしさだ!孤独だ!異能だ!そして読者の頭にはない究極の新しい任務だ! 『トム・ピーターズのマニフェスト(2) リーダーシップ魂』

愚見を承知で重箱の隅を楊枝でほじっくってみよう。トップダウンの弊害を訴える人は「指令・統制」といった王者のような特殊な統治能力を批判する。使い古した言い方をすれば「社員が自ら考えない」とテンプレート化する。そしてボトムアップを求める。他方、ボトムアップを是としない人は強力な統率力がないから社員がばらばらになってしまうと主張する。

トム・ピーターズは言う。

指令統制型マネジメント、つまり上意下達型『リーダーシップ』は時代遅れだ。『新型リーダーシップ』は新しいスキルを次々に引き出す。たとえばとっさの機転とひらめき。そしてある種の「偉大な職場」を創出して「偉大な人材」を育て上げる。

氏は、リーダーシップを定義したうえで、50の真髄を紹介している。その真髄に圧倒される。たとえば、

  • 3.リーダーが最高にできる人間だという例は珍しい
  • 8.リーダーは矛盾を糧に成長する
  • 9.リーダーは混乱状態が大好きだ
  • 15.リーダーはグランドデザインを示す
  • 22.リーダーは大きな間違いをおかす
  • 26.リーダーは才能おたくだ
  • 27.リーダーはリーダーを育てる
  • 30.リーダーはネットワーク中毒者だ
  • 38.リーダーは偉大な学習者だ

上の含蓄のある一文には、それぞれ簡単な説明がついてくる。たとえば、38.の学習者とは?氏がマッキンゼー時代に知り合ったピカイチのコンサルトには、ある秘密があった。それは、「なぜ?」と問いかけることだ。四六時中、臆せず「なぜ?」と問いかける。

Why?Why?Why?Why?Why?Why?Why?Why?Why?Why?

「答えがわかっている」と思われているリーダーにとって、「単純きわまりない」問題に関して、無邪気に「なぜ?」を繰り返すのは本当に難しい。ただし、いわゆる「単純な」状況では問われることのない「なぜ?」こそが、問題の核心に迫るカギではないか。 『トム・ピーターズのマニフェスト(2) リーダーシップ魂』 P.50

リーダーは、あらゆる立場の人を巻き込んだ、密度の濃いネットワークを構築する—–人間関係の達人であり、ネットワークの中毒者であれと鼓舞する。氏の言葉は易しい。でもその言葉どおりにいざ「行動」するとなると五里霧中である。障害を突破するために、間違いをおかすし、”おたく”(異能)とつきあうし、「実行」する。孤独であり、「わからない」と思われることを恐れる(それでも勇気をだして「わからない」と口にする)。この50の真髄は単なる「箇条書き」ではなく、ひとつひとつが複雑に絡み合っているように思う。マンダラみたいだ。

本書の各章の冒頭には過去と現在を比較した箇条書きがある(題名: 「何という違い」)。例えば、第2章 「ボスの仕事 ヒーロー,デモ,ストーリー」には、10個の「何という違い」がある。その中のひとつ。

  • 過去: 具体的な仕事を指示する
  • 現在: ストーリーを語る

思わず唸った。激しくうなずいた。興奮しながら読みすすめていくと次のセンテンスが飛び込んでくる—–「リーダーシップのカギはストーリーの効果的な伝達だ」。リーダーは意義を考え、浮き彫りにする。その意義とは、感動的なストーリーであり、首尾一貫したテーマであり、高邁なメッセージである。リーダーは究極のストーリーテラー、一貫性のあるストーリーを話す能力を身につけていなければならない。

指示を与え先頭に立って牽引していくのがリーダーでなければ、一人一人が考えるように促すのを後ろから支えるのもリーダーではない。型破りな才能を尊び、才能を育てるための環境をととえるのがリーダーだ。他にもたくさんの仕事がある。リーダーが第1にする仕事。それを最終章「ボスの第一の仕事 25の才能」にまとめてある。その中で印象に残った数字をとりあげる。

26.3(にじゅうろくてんさん)

これは氏がASTD(全米人材開発協会)での講演の準備をしているときに見つけた数字だ。単位は時間、26.3時間。何の時間か?

平均的アメリカ人労働者が学習の場にいる時間の年平均の数字

氏は、「長い長い人生で、これほど不愉快きわまる数字に出くわしたことはない」という。レスター・C・サローは「知識資本主義」社会の到来を予見した。トム・ピーターズは「知的資本」と定義した。10年後、ホワイトカラーの仕事の75〜90%は、239ドルのマイクロプロセッサに強奪されるだろうと指摘する。そんな社会にいて、自分の成長のために費やす時間が、1日にあたりにして何”分”になるのか。

一般人が”才能”と呼んでいる集団を、「才能」という言葉を恐れず同じ目線でとらえた場合、以下のことを想像できるだろうか?

次のような人の場合、年に26.3時間のトレーニング時間を想像できるか?プリマドンナ、バイオリニスト、スプリンター、ゴルファー、パイロット、兵士、外科医、宇宙飛行士。 『トム・ピーターズのマニフェスト(2) リーダーシップ魂』 P.131

サローやピーターズが指摘するように「知的資本」が到来するのであれば、今後ますます「人」そのものに価値が求められる。タレントである(もちろん芸能界的な意味ではない)。そのタレント群を叱咤激励し、物語を語り、同時に次のリーダーを育成しながらプロジェクトを達成する。そのために必要なのが真のリーダーシップではないだろうか。目的を実現するために必須の環境を構築していくという「答えのない」任務—–それが究極の任務ではないかと読了後に愚考した。

It\'s only fair to share...Tweet about this on TwitterShare on TumblrPin on PinterestShare on Google+Share on Facebook

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。