[REVIEW]: 論理力を強くする

`論理力を強くする頭の体操でもしようかと軽い気持ちで購入したところ、えらい目にあった。1頁につき15分、長いときなら30分以上考え込んでしまうときもあった。「天使は”ブヒ”と言える?」と質問されれば一瞬キョトンとするだろう。最近、「ロジカル」「論理的」という単語を使うとき、「一体、論理的とは何だろう?」と自問して乱発しないように気をつけている。そんな矢先に本書を紐解くと、「論理力」皆無の己に遭遇して参った。降参。一からやり直そうと決意させてもらった。

論理力と考える力が身につく傑作論理パズル
屁理屈に思える発言や記述に、実は論理の真髄がかくれている。論理パズルを読み解くことから、日常ではとらえられない論理思考の技術を身につけ考える力を育てる『論理力を強くする』

「論理力」とは一言でいえばずばり「演繹能力」を意味する。演繹能力とは、論理そのものを判断する能力である。ただし日常的に行われる演繹は、単純な三段論法の繰り返しであり、これらは自然に身につく能力である。

本書は徹頭徹尾「論理」を扱っているが、ここに登場する「論理」は自然に身につく能力のたぐいではなく、教わらなければ理解できない力である。論理力を強くする3ヵ条は次のとおり。

  1. 見かけに惑わされるな
  2. 論理の正しさと結論の正しさは別もの
  3. 論理の考えるときは直感に頼るな

私見を述べると、2.と3.がやっかいなシロモノだと思っているし、気をつけるように常々肝に銘じている。論理が正しくても、それから導き出される結論が正しいとは限らない。また結論が周囲からかならずしも”是”(正または真という意味ではない)とされない。たとえば次の文章は「論理が正しく、結論が正しくない」例である。

「ペンギンはブタである。したがって、ペンギンはブタである」

反対に論理が正しくなく、結論が正しい例は次のとおり。

「ペンは重い。したがって、ペンギンは鳥である」

極端だと受け取るのは早計ではなかろうか。小難しい単語と複雑な文節をからめていかにも難解な文章を書いていても、いざ記号化すると上記のような文章になっている可能性がある。

3.も手強い。問題29.

茜「私が人魚なら,私は不死」
この発言がウソでした。
つまり,どういうことなのでしょう?

少なくとも答えは、「茜は人魚じゃないから不死じゃない」ではない。

問題13
「猫耳のOLは猫耳ではない」
これは真実? それともウソ?

いやはやブログを書くのが恥ずかしくなるほど打ちのめされた気分。