滋賀県知事選雑感 -琵琶湖再生を切望する-

asahi.com: 滋賀県知事に嘉田氏 3党推薦候補破る

3選をめざした国松氏を推薦した自民、民主、公明の各党は思わぬ敗北を喫した。中でも知事選などでの「相乗り」を原則禁止し、与党との対決姿勢を打ち出しながら、今回は例外扱いとした民主は、来年の統一地方選や参院選に向けた取り組みの見直しを迫られるのは必至だ。

こんなことがあるのかと驚いた。投票率は44・94%。この投票率で自民・民主・公明相乗りの現職知事が3万票以上も差をつけられ破れた。3党と連合滋賀の支援を受け、国会議員や地方議員の後援会を動かした。200以上の推薦団体が支えた。なのに組織票が問題にならないほどの差だ。敗北の原因はプロにまかせるとして一票を投じた率直なコメントを残しておく。

今回の選挙は保守支持層のなかでも内部分裂していたのではなかろうか。原因は何といっても新幹線新駅問題。県債残高が約8800億円の未曾有の事態に約240億円を投じて「こだまとひかりしか停車しない」駅を造成する意味に首をかしげた。そのなかの結果だ。地盤も資金もない嘉田由紀子氏が勝った。よほど疑問の余地が残る「公共事業」だったのだろう。疑問というよりも嫌気。そしてそれは社民支持、当初共産党と一本化調整までしていた候補者に投票させるほどの嫌気だった(嫌気が適切かどうかわからないけど)。「党」ではない「政策」に県民が動いた。一地方知事選の結果が国政に影響を与えるのかどうか知らないけど、今後の参考になったのではないか。もうよくわからない公共事業にお金を使う拒否反応は、政治家の人たちが想定している以上に根付いているのかもしれない。

開票速報をテレビで眺めていて両陣営の様子が映し出されたとき、ああなるほどなぁと意味もなくうなずいた。なんというか雰囲気がまるで違う。国松氏はいかにもという感じの方々が集まっているのに対し、嘉田氏のまわりは選挙なれしていない人の集まりといったような印象を受けた。選挙中、終始一貫この雰囲気を醸し出していたのなら県民には「ひょっとしたら」と芽生えたのかもしれない。

私は嘉田由紀子氏に琵琶湖再生を期した。新幹線新駅問題もさることながら琵琶湖再生にもっとも識見をもっておられると考えたからだ。水や琵琶湖に関する著書は40冊以上にものぼり、1979年に滋賀県に移住していらいずっと琵琶湖の環境を研究しておられる。「アホやなぁ」とパートナーに失笑されたが、私は滋賀県を「琵琶湖県」にしてと願う。琵琶湖は世界有数の古代湖で日本の大切な水源なんて宣う気は毛頭ない。「日本」なんて視野はない。言い散らせばビジネスマインテッドに考えた結果だ。滋賀県のために徹底的にブランド化してみてはどうかと思う。その1点のみで妄想すれば"実現不可能"なアイデアがたくさん生まれると期待したい。ブランド化の第一歩はなにがなんでも在来種を取り戻すことだ。何度も言う。琵琶湖は昔も今も将来もずっと残る。何世代も前からあり何世代もあとに続く。琵琶湖は滋賀県にしかないのだ。そこにしかなくそれに価値を見いだせるものに私はブランドを感じる。懐古主義でも自然主義でもない。ただただエゴにならずに人のために徹底的に活用すればよいと思う。

が大変なのはこれからだ。政治家経験皆無の知事が県議会をどのように運営するのか問われる。大半の県議員は国松氏を支持している。公約に退職金拒否とあったけど1期4年で4,435万円(らしい)。政権運営に神経をすり減らし身体がぼろぼろになってでもほんとうに公約を実現し琵琶湖再生の道筋をたてられるのなら政治のプロとして報酬を受け取ればいいと私は思う。そして何よりも一票を投じた私はここから関心をもって注視する以外に手立てがない。私は「党」より「政策」に動いてしまったバーターとして「不安定な政権運営」を選択した。だから県議員が民意をくみ取らない行動をしないように声なき声を我慢強くあげることが求められる。その狼煙としてマイメディアでこのエントリーを残した。