[Review]: しをんのしおり

しをんのしおり (新潮文庫)

人生で二度目の錯覚を経験。トレーニングしていないのに腹筋が2×3にわれたような気がした。テラワロス。イタイ。読了2日後に筋肉痛になるというゲキ凹も体験。表参道のフランス料理店、厨房のドアは開放されていて多忙なる四人の男たちの姿が道から望めた。こんな風景が三浦しをんさんにかかると「ホ○劇場」へと一変。フェミな薔薇系好き。すべてが「日常」から紡ぎ出される妄想。起伏のない日常の中にこそ、面白いことやヘンなこと、怒りが炸裂するようなことがあるのだにバンザイ。

「漫画の王国」に生れた小説家の乙女な日常生活。バンドを追っかけ上方へ、愉快な仲間と朝まで語り、わきあがる妄想の楽園に遊ぶ…色恋だけじゃ、ものたりない!なぜだかおかしな日常はドラマチックに展開—日本の政局も、家族の事件も、人気のTVドラマも、考え始めたらいつのまにかヒートアップ!「読んで楽しく希望が持てる」、笑い出したら止まらない、抱腹微苦笑ミラクルエッセイ。しをんのしおり

お盆の直中、近くのイオンに避暑。親と子が織りなす喧噪を尻目に広い食堂ちっくのテーブルの一角を占拠。傍らにアイスコーヒー。めくること2.5時間。ひたすら肩をゆらせて薄気味悪い笑みをうかべる我を他人が目撃したなら、即座に警備員に通報されたであろう。おチビくんたちはDSに夢中。親はおしゃべりに夢中。私は妄想に夢中。

途中、たまらず「うぉっ」と声をだす。なんとな、三浦しをん殿が「魁!!クロマティ高校」にご執心。奇遇我全巻所有。実写版があるのはもちろんご存じか。胸毛のフレディは渡辺裕之氏が演じておりますぞ。ちなみにわたくしはメカ沢クンの大ファン。分解されて元通りに組み立てられないシュール。何度もKOされた。クックックッ。

そうそう、この国は胸毛に厳しいのみならず薄毛(ハ○ともいう)にも風当たりが強いと思うんじゃがのう。なにせ臑毛と胸毛を隠して薄毛を隠していなければ、リストからはずされる。臑毛・胸毛・薄毛の三点セットで街を闊歩してみたいでごわす。

「ところがそれだけじゃない。ネズミ御殿は世界各地にあるやろ。アメリカはもちろん、ユーロとか。それぞれの御殿に各一匹ずつマイケルマウスの着ぐるみがいるわけやけど、とにかくこの世に一匹の貴き存在だから、東京の御殿でマイケルマウスが子どもたちに手を振っているときには、ユーロの御殿にはマイケルマウスはいないらしいの。ちゃんと世界規模でマイケルマウス登場のタイムスケジュールを組んであって、同時刻にマイケルが地上に何匹も存在するなどということのないようにしてるんだって」同P.132

なんですと!「死国」のYさん、ほんまでっか?

ぶるる、まさに世界規模で繰り広げられる鼠御殿の秘宝館戦略。おそるべし。六才以上十八未満を夢の世界へと連れて行く紅毛人の狡知。ブルブルブル。

きわめつけは超戦隊ボンサイダーと(高倉)健さんの一日。健さんはやっぱりアレだな。”噂”を背景にしょって読めば絶倒しちまうな。だって、設定がすでに「レア」じゃき。

なぜかくもすばらしいエッセイが次から次へと紡ぎ出されるのか。知らん。とにかく「日常」が目の前にある。その「日常」からかいま見られる人生劇場にファーカスロック(着眼)して想像(妄想)して表現(創造)できる異才に羨望。

SOよ、視点と妄想と筆力のしをんバミューダトライアングルに迷い込んだ我に救いの手を….._| ̄|○

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