1700円の霜降り牛

伊丹十三DVDコレクション スーパーの女【亡食の時代】科学技術が作った"霜降り肉"を読んで、まだこういうニュースが報じられるのだなぁと思った。『スーパーの女』が上映されたのが1996年。リアルタイムで「肉が造られていく」様子を観て、「ああ、むかしからそうなんだなぁ」と納得した。映画の内容が「現場を表現しているのか」どうかわからないけど、「○○の女」シリーズを観ていると妙にリアルさがあるような気がする。監修が現場のヒトなのかなぁ。

食肉メーカーの協和食品(東京)によると、主に利用されるのは豪州産のカウミート(搾乳後の牛の肉)。これに100本を超える注射針を差し込み牛脂を注入する。コンデンスミルク状になった脂身が赤身に溶け込むと、見た目は、ご存じ霜降り肉にそっくりになる。こうして「インジェクション・サーロインステーキ」は、完成する。外見だけでなく、通常の赤身肉にはない柔らかさも得られる。「値段は、高級霜降り肉が1キロ8000円ぐらいなのと比べ、1700円程度です」(同社営業部の山下博巳さん)

スーパーの女では六平直政さんが精肉部チーフ役で出演。確か台詞にこうあったような。うろ覚え、ニュアンス。「まぜもんを造れて一人前」だったか。じゃぁ、なぜ「まぜもん」を造るのか。ぽっけナイナイするため。あとはコワくて書けないので興味がある人はレンタルが吉。肉はビミョーです。

一番の問題点はメニューから正体が分からないこととしたうえで、こう語った。「1000円で霜降りのステーキを食べられるわけがない。何が本物か、消費者に"眼力"が問われる時代になったのかもしれない」(「食」問題取材班)

世知辛い世の中ですな。そんな"眼リキ"求められたらオチオチ仕事もできませぬ。仕事そっちのけで"見分け方本"探しに奔走せねば。堂々と「安かろう!まぜもんだろう!」を訴求すればよいことで。それを冷静に報じる「報道力」をみずから問うてほしい今日この頃。"魔法の粉""添加物の添加物"であろうと、企業が「まぜもんでも大丈夫!」的広告に金をかけて、「ああ、なんだ少々身体に影響があるかもしれない?!けどまぁいいや」的土壌を形成してほしいものです。まずは、「まぜもんでも大丈夫!(?)」に力を入れよと向かうのが「報道」かと。消費者が選択する"時代"であ・る・な・ら・ば。

なにせスポンサーですから。もちつもたれつ、マッチポンプ