どうやってアタリを引かないようにするか

文明の憂鬱産経新聞社がぶるっとしそうな記事を2つさりげなくアップしている(参照1:「食」汚染、中国当局も危機感 発展優先"負の遺産",参照2:中国、河川の6割"深刻な汚染" 当局内部資料流出)。日本も公害があったわけで対岸の火事ではないし、他国を揶揄するまでもない。産経新聞社だけがウェブで報じているのが気になるぐらい。とまれ、問題はどうやってアタリを引かないようにするか。

加工食品についても作業員による衛生管理の質が悪く不衛生としたほか、偽ブランド食品の安全性に特に問題があると警告している。衛生より利益優先のため、重さをごまかすのに牛や豚に水を注入したり、大量の食塩を食べさせるなどのほか、ペンキの材料など極度に毒性の強い添加物や防腐剤を使用するケースが多いと、その危険性を指摘している。

流出した資料の内容は目を覆いたくなるようなものなのでしょう。そのあたり新聞各社もさすがにと思ったのか、ベタ記事扱いでも「基準値を大幅に超える農薬」なんて見出しがふえてきた。っとと、このエントリーを書いている最中に寄り道したら、"ソーセージ大国"で食肉偽装 腐敗肉販売に欧州衝撃が目に飛びこんできた。ノーコメントです、はい。ぶるぶる。

で、買い物に行くとき中国産と表示されているものは買わない。表示を信じるしかないので素直にありがたく無難な産地をチョイスです。かたわらのうなぎクンに一瞥して思う。「君はどうしてこんなに大きさと厚さが違うのかい?」。おお、そうか、むかしある企業の(食品関係)の社長とお会いしたときオフレコしていた。それが脳裏によぎる。養殖された北欧産のサー○○のお話。○○やホゲホゲだらけになるので割愛。とにかく凄まじかった。

さて問題は外食時。さすがに外食のメニューにはいちいち○○産なんて書いてない。最近はマーケティング的釣りとして増えてますです。でも原材料には表記はありません。

ここで、「原材料にも○○産表記しろ〜」なんてシュプレヒコールをわたしは上げたりしませんよ。だって手間を想像するだけで、「あぁ、コスト削減のためにがんばっているのだし、中小零細企業ではとてもじゃないけど対応できないだろう」なんてウンウンと頷く。

ようは自分がアタリを引かないようにすればよいわけですな。別にotakuになるつもりはありませんぜ。まぁ、悩ましいところです。ソレ喰ったから何か?程度のシロモノですけど、はじめからピーとわかっているようなものを口にする勇気と申しましょうか。知らなければ吉です。みなまで言うなというところしょう。

レヴィー=ストロースが訴えている。なるほど、「そんなふうに世間の事象をとらえるのか」と目から鱗が落ちた。

俗に狂牛病といわれていた症状に牛が感染する原因は、人間の食用に肉を提供したあとの牛の骨と臓器を原料とする粉末飼料(肉骨粉)にあるとされている。文明が便利な産物として作りだしたその新式の飼料に、レヴィー=ストロースは二つの深刻な意味を読みとったのだった。ひとつは人間は牛に共食い(カニバリズム)を強いること、もうひとつは草食動物を肉食動物として扱うことである。そこにおいて、効率本意の現代文明は、超えてはならない重大な境界を越えてしまったのではないか。[…]レヴィー=ストロースは不安をこめて訴えたのである。『文明の憂鬱』 解説より

BSEの原因が粉末飼料にあるのかどうか、わたしは知らない。それよりも、二つの「読み取り方」のほうに興味をいだく。こんな風に世間を切り取りできたらどれほど世の中が違って見えるのだろうかと羨望のまなざし。アタリを引かないよりも、アタリを引くようなライフ・スタイルにならないです。アタリを引かないためにエネルギーを注ぐなら、アタリをひくようなライフ・スタイルから己をズラす。やってみたいものです。