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アンビエント・ファインダビリティ #2

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アンビエント・ファインダビリティ ―ウェブ、検索、そしてコミュニケーションをめぐる旅

「アンビエント・ファインダビリティ #1」は、”ファインダビリティ”と”アンビエント”の語義の説明でした。つづいて第2章では人間とともに進化してきた「経路探索」とファインダビリティの関係を考察しています。

人間が迷宮や迷路に魅惑される理由は、迷うことへの原始的な恐怖に起因する。有史以来すべての生き物にとって、自分の棲み処をあえて離れ、食物や水や仲間を探す旅に出かけて再び帰ってくることができる能力は、生きのびるために最も重要なスキルであった。道に迷うことは、動物にとっても人間にとっても同等に、大きな生命の危機を招くおそれがあることを意味してきた。
人間の経路探索本能は、生物の進化の力を証明するものだ。人間が生来持っているオリエンテーション(方位決定)やナビゲーション(進路決定)のスキルの多様性と洗練度は、息をのむほどである。

『アンビエント・ファインダビリティ ―ウェブ、検索、そしてコミュニケーションをめぐる旅』 Peter Morville  P.22

「迷う」を物理的(身体的)ではなく、精神的な意味として解釈しても「恐怖」と結びつくのは気のせいでしょうか?

のっけから余談はさておき、経路探索(wayfinding)は、次の5つのステップから成るプロセスと定義されています。

  1. 自分の現在地を知り
  2. 同時に目的地を知り
  3. 目的への最適ルートをたどり
  4. 目的地に着いたことを確認し
  5. 出発への帰り道を見つける

これだけのプロセスを経て、人間は「地点」から「地点」へと移動します。たとえば、通勤はこのプロセスが無意識化・自動化された動作であり朝飯前の行為ですが、初めての出張先ともなるとそうはいかない時もあります。当事者や環境や状況次第で、厄介な仕事となります。

経路探索の歴史は古く、地図や番地、標識は経路探索の道具として使用されてきました。ほかには、「人工環境」も経路探索に使われます。人工環境とは人間の五感を刺激する建築物を意味します。たとえば教会の建物や大きな橋、大通りなどです。イタリアでは辺り一面が低い屋根の町中に突然、天高くそびえる教会があります。それを人は見て、「自分の位置」を確認します。パリのシャンゼリゼ大通りもしかりです。地図は平面の世界地図だけでなく、極端に写実性をそぎ落とした地図(地下鉄の経路表)も経路探索のツールです。現代ではデジタル機器の登場によって携帯電話にGPS機能を標準搭載されています。

これら「経路探索」はウェブの世界ではどうとらえるのでしょうか?

ウェブではいつだって近道が、別のルートが存在するのだ。キーワード検索をすれば、40億ページものデータが瞬時にソートされる。Googleにはメタファーは必要ない。結果あるのみだ。テキストとハイパーテキスト。あっという間だ。[…]われわれのウェブ体験は、意味を伝達する言葉の利用に依存している。ラベルとしての言葉。リンクとしての言葉。キーワードという言葉。そして、トピックの類似性を意味上の距離として視覚的に伝えることは可能であるが、画像がテキストに付加できる意味はごくわずかしかない。

『アンビエント・ファインダビリティ ―ウェブ、検索、そしてコミュニケーションをめぐる旅』 Peter Morville P.49-50

もちろんウェブでも「経路探索」は付きものですが、現実世界とは異なる要素があります。それが検索です。かつて船でしか行けなかった地点へハブ空港から飛び立ち、一瞬でショートカットできるようになってしまったわけです。世界中へつながるハブ空港のフライト表がGoogleのデーターベースでしょうか。

ゆえに経路探索とファインダビリティが密接にからみあってきます。このあたり、私の中ではまだ抽象的概念としてしかとらえきれずにいて、実際のサイバースペースにどう落とし込もうか思案中です。

ですが、「ユーザーはどの地点にいて、どこへ行こうとしているのか」という視点が今までとは少し違った角度から解析できるかもしれません。

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