[Review]: レバレッジ・リーディング

レバレッジ・リーディング

量が質を凌駕するとしたら、量をこなす「仕方」が問われる。本書はその「仕方」を解説している。速読ではない多読。一冊丸ごと速読して「忘れる」よりも、厖大な量の書籍の必要箇所だけ多読して「覚える」ほうが、実践には役に立つ。

わたしは年間で約四〇〇冊の本を読みます。読むのはいわゆる「ビジネス書」が中心です。最低でも一日一冊、多い時は三〜四冊は必ず読むようにしています。なぜこんなに読むかというと、読書を単なる読書ではなく、経済的行為、つまり投資活動として捉えているからです。

『レバレッジ・リーディング』 本田 直之 P.16

「忙しくて読むヒマがない」のではなく「本を読まないから時間がない」と断言する筆者。なぜ断言できるのか。『レバレッジ・リーディング』の意味がそこに含まれている。先人が何年・何十年もかけて成功してきたノウハウを本一冊から学べる。そしてその成功ノウハウを数多く収拾して、自分なりに工夫すれば、「時間の余裕が生まれる」という。

読書をストックではなくフローにした視点が異彩を放つ。つまり読書を仕入れて、それを自分流に加工し、アウトプットしたknowledgeを販売する。そのリターンやそこらの金融商品も真っ青。1,500円で仕入れたビジネス本を100倍にして回収するから驚く。

レバレッジ・リーディングにもっとも必要な要素は何か?

答えは「目的」。「自分が何を課題としているのか」「何を知りたいのか」という目的を定めないとレバレッジ・リーディングはできない。なぜなら、本が選択できない。レバレッジ・リーディングでは本を選ぶところからはじまる。闇雲に読まない。さらに一冊を選択するのではない。一冊読んだだけでは、偏った見解を持つ可能性が高い。それを排除するために、数冊〜数十冊、時には、本屋の書棚一、二列分を購入する。たとえば「口コミマーケティング」について知りたければ、それに関する「経験型」の書籍を大人買い。

本書のユニークな点は本屋に駆け出したくなるような説得力とスピード感、そして実践力。読んでいる最中からうずうずした。微に入り細をうがつ説明はよほどの無精でないかぎりいますぐに実行できる。かくゆう私も早速ためしたところ、傍らに積んであったビジネス系積ん読本があれよあれよと減った。

ただ私の場合は、「減った」だけ。まだそれらは資産に変貌していない。借金は返済したけど、事業の業績は閑古鳥ではレバレッジといわない。同じ借金でも事業資金の借入ではなく設備投資の借入でなければならない。

「設備に投資する方法」は教えても「投資した資本を回収する方法」は載っていない。そこが巧い。「投資」と「回収」を峻別しないと陥穽に落ちる。文字どおり「多読」して終わる。

「多読」からレバレッジへ次数を一つあげるのは、「本」ではなく「私」であることを再認識させてくれた。ビジネス本の読書術に悩んでいる人は手に取ってみてもよいのでは。筆者が言うように、「安い1,500円」以内で買える投資です。ちなみに価格は1,450円+税、狙いすぎです>>>出版社サン。