症例のページを制作するとき、画像とテキストで「変化の様子」を伝えます。前回の「誰にむけてのメッセージか」では、「誰に」と「内容」の溝を指摘しました。
「誰に向かって発信していますか?」という私の質問に、先生は不思議そうな顔をして、「エッ、それは患者さんに決まっているじゃないですか」と返答されます。「かしこまりました」と失礼したのち、スライドを見ると、サイナスリフトの術中の写真が何枚も含まれています。
「閲覧している人々に来院してもらいたい」とおっしゃる先生方は術中のスライドを私に渡されません。それらはスタディグループや学会の発表用にストックされています。仮に渡されとしても、
- 手術内容によっては、一部ドクターにも閲覧してもらいたい
- だから、クリックして閲覧したい人だけ閲覧できるようにしてほしい(ポップアップ,別ページなど)
- 閲覧するとき注意書きを挿入しておく
の3点を私に指示します。
あと、スライドは可能な限り多くの枚数を撮影されています。専門的な理由は不案内ですが、おおむね
- 初診と治療後(すべての角度から)
- 強調したいポイントをマクロ
- 被写界深度とホワイトバランスを調整
- 露出を安定させる
- ケースによっては黒い紙を口腔内に挿入
などに注意を払って多角的に撮影されています。それらのスライドを拝見しますと、「記録」と「プレゼン」では、力の入りようが違うような印象をうけます。是非ではありません。ただ、後者のほうが「何を伝えたいのか」というテーマが明確であるかのように伝わってきます。
小耳はさんだところでは、口腔内撮影用にチューニングされたデジタル一眼レフがあるようです。WB,露出,絞りなどが安定していて、ピント合わせさえできるようになれば満足のいく撮影結果が得られるようになっています。また、医院によっては撮影の「研修会」を実施しているところもあります。
誤解のないように申し上げますと、(ことウェブサイトだけに絞るなら)撮影は手段です。それ自体が目的化してしまうと本末転倒です。他方、院長先生やスタッフの方々は時間の制約もあります。撮影に時間を割いてばかりいられないと思います。
ところで、画像とテキストの情報量を比較される先生がいらっしゃいます。正直、私はあまり関心をもちません。なぜなら、画像で「伝える情報」とテキストで「訴求(解説)する情報」は補完関係にあると考えるからです。ただし、情報の質は別です。「情報の質とは何か」を考えてみてください。
画像によって
- 治療前と治療後の変化
- 治療中の変化
- 治療箇所の変化
などの「変化」を視覚的に伝えます。そして、目に見えないQOLや専門的な解説をテキストで伝えます。次は、「テキスト」について考察します。