セタシジミを取り戻せ

セタシジミを取り戻せ 滋賀県が琵琶湖再生事業を実施へ

琵琶湖の特産セタシジミが繁殖できる環境を取り戻そうと、滋賀県は湖底の再生事業に乗り出す。泥化した湖底を下流の瀬田川から採った砂で覆い、砂地を好むセタシジミの繁殖場所を生み出す。約10年かけて水揚げ高を倍増させ、「湖国の味」の復活をねらう。9月県議会に提案する補正予算案に初年度事業費として約1億円を計上する。

琵琶湖のすぐそばにすんでいるから自然と琵琶湖に関心をもつようになって、おまけに30手前で引っ越したクチだから、おそらく子供のころから住んでいる地元の方々とは違う目線なのかもしれないと思ったり。

で、セタシジミ。記事にあるとおり琵琶湖の固有種。1950年代半ばには琵琶湖の各地や瀬田川で採れ、年間約5千トンの水揚げだったそうだが、2005年には161トンまで激減した。

最盛期の3%しか採れなくなった。ほんの50年間で。

ただ、ああ〜、といったかんじのノスタルジックなものではなく、リアルに査定しなければならない。琵琶湖に投資したキャッシュがどれほどの効果をもたらしたのか。そしてその結果、どのような財政状態なのか。危険な財務状態であるのはあきらか。

なんというかノスタルジックではなく、ほんと痛感するのは、わざわざ手入れしたものを自然の状態にもどすとき、そこにはとてつもない時間とカネがかかるのだと。あらためて。

10年かけて320トンしか増やせない。しかも目標値。

ここで予防という安易なフレーズを書くと、たちまち叩かれそうだからとっとと逃げるとして、こうやって痛い目にあってやっと気づくモノなんだと得心。それでも少しずつ「つなげていこう」と試行錯誤していく姿勢を応援したい。

わたし琵琶湖の漁師です(光文社新書)

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