発信

2010.06.30 曇時々晴れ

近畿の梅雨はどこへ。琵琶湖の水位は-11cm。空梅雨ではなさそうだけど雨が少ないような気もする。大気中に含まれる水蒸気は雲になるけれど雨粒にまで成長できず地上に降りたくないみたい。九州や中国ではたいへん降っているので、近畿だけか、それとも琵琶湖の上だけ降らないのか。

WPのテーマを制作。WordPress 3.0の5つの新機能を勉強。サイトで新機能を調べてからコードを試行錯誤してみるとCMSに近づいたことがわかる。カスタムポストタイプとカスタムタクソノミーをうまく設計できたら、サイトマネジメントの効率性と検索性が飛躍的に向上する。たとえば歯科医院のサイトを制作するとき、治療別のカテゴリーを設計するよりも保険と自費のカスタムポストを用意してから、インプラント, 歯周病, 矯正、さらに前歯, 奥歯, 上, 下などで関連情報を階層構造で分類したほうが、優れたファインダビリティのサイトになると思う。

WordPress 3.0がCMSに近づいたことにいよってますます「設計」が求められる。決して制作が簡単になったわけでも、手軽に記事を投稿できるようになったわけじゃない。反対だ。今まではインターネットにウェブサイトを公開する行為自体の敷居が高かった。だからインターネットにウェブサイトを「公開」したら「終了」するサイトが多かった。これからは簡単に公開できる。公開が簡単になったことで、「準備」があったことを改めて認識させてくれる。コンセプト・コンテンツ・ドメインを思考する準備。

06/30に平松邦夫大阪市長がご自身のブログで「緊急発信」した。内容は「中国からの大量生活保護申請に関して」である。ユーザはこういう情報を待っているのだろうなぁと率直に感じた。口蹄疫の時にも感じたが、行政自身が一次情報をありのまま事実として伝えるインパクトは大きい。自分はこの情報を新聞社から仕入れなくてよかったと強く感じた。

新聞社は一次情報を伝える責務を負っているが、新聞各社の立ち位置が事実をまげて解釈してしまう。観察者効果。

産経新聞は今回の緊急発信のピントを中国にあわせてシャッターを切るだろう。朝日新聞は人権にフォーカスするかもしれない。新聞社の立ち位置によって、事実を読解する能力と読解して伝達する能力が変化する。事実と意見を仕訳しないで各新聞社の思想をテキストに埋め込む。サブミリナル効果を狙うみたいに。

平松邦夫大阪市長の最後の一文がそれを端的に表現している。単に中国が悪いとか排他的な動きにつなげないでほしい、法律や体制の矛盾を冷静に知ってもらいたいというお願い。

『小さなチーム、大きな仕事―37シグナルズ成功の法則 (ハヤカワ新書juice)』 ジェイソン フリード, デイヴィッド・ハイネマイヤー ハンソン というとてもおもしろい本がある。マーケティングは存在しない、電話しているときもメールを書くときも、すべての行動がマーケティングだというパラドックスなパフォーマンスが刺激的で本書には「文章のうまい人を採用しなさい」という一文がある。

僕はウェブ界隈にどっぷり浸かっているから周りが見えなくなっている。それでもあえて強く訴える。これからのメディアはテキストだし手のひらサイズの動画、あとはRSSで配信する音声データだと思う。インターネットでウェブサイトを公開して終了させないための根本的な問題は時間の確保じゃない。文章を書くこと、そして動画や写真といった映像をストックすることだ。

行政はこれから自分たちがメディアになればいい。そして文章を書く人を育成して、冷静な賢い文章と急進的で興奮する文章を発信してほしい。