MUSE

2010.10.30 雨のち曇

前日のM先生のミーティングで口腔内写真の撮影を練習した。まずはスタッフのみなさんに全自動で撮影していただいた。それからF値を変更してアングルを変えてみる。装着されたレンズを見た第一印象は撮影の条件をクリアできないかもだった。感じたとおり理想のF値まで絞り込めなかった。とりあえず感覚を体験していただくにはよかったと思う。

練習後、レンズ購入が決まった。自分がレンズを選ぶことになったので、午前中は口腔内写真撮影用のマクロレンズとリングフラッシュを調査。歯科用のカメラが販売されている。それらは市販の一眼レフに市販のレンズに市販のリングフラッシュを装着されているが、価格は市販の組み合わせの約2.5 – 3倍。それでも安くなったと思う。価格はセッティング代。ホワイトバランス、F値、リングフラッシュの設定などあらかじめ口腔内写真撮影用にカスタマイズされていて、購入すればすぐ撮影できるようになっているのだろう。

13:00前に出発。15:00から神戸で打ち合わせ。次回へ持ち越した項目もあったがまずまず進めた。17:00すぎに終了して急いで大阪へ引き返す。

MUSE OSAKA(心斎橋)へ急ぐ。急いでいるのは気持ち。生身の速度は列車の運行に委ねている。18:30スタートに間に合った。僕はいつものようにホールの後方の右端でスタンバイ。うん、今日もちゃんと見える。女性が多いので視野は良好。

1ドリンクのシーバスリーガルを飲みながら登場を待つ。今日はSOLD OUT。350人。それだけ入っているような感じがしないほど僕の周りにスペースがあった。一人で来ている人も多く、なんとなく話しかけたそうにしている女性やじっと前方を見る男性が目に入る。互いに声をかけている人たち。年配の夫婦。また見つけた、男3人組。始まる直前の空間と雰囲気が好き。

登場。コータローくんはリッケンバッカーのギターを持っていた。”リッケンバッカー”と聞いてドイツとリンクしてしまう。なぜだろう。メディアで見聞きする単語が記憶されていて、よく似た発音の名前の多くがドイツであるからそう推測している(と自分の推測のプロセスを推察した)。記憶と理解とフレームと認識….etc

すごく小さなたった一つの記号のなかにいろんな要素が含まれている。

350通りの楽しみ方がある。飛び跳ねる、左右に揺れる、頭をシェイク、手を掲げる、叫ぶ、ほんのわずかに身体を揺らして照れくさそうに口ずさむ。あるいは後方でじっと見るユニセックスな185cmぐらいの男性。僕の視線はステージとホールを絶え間なく往来する。それもひとつの楽しみ方だ。

サプライズ。2回のアンコールが終わったので緞帳がステージを隠した。ハウスの照明が明るくなった。みんなは出口へ向けて動き出す。数十人がハウスから出て行った。その時、再び戻ってきた。ハウスの照明が暗くなった。一瞬で”まさか”が同調する。あわててもどってくる人たち。最後の1曲。20:50終了。

Halloween の仮装パーティ。伝統的な?! 仮装からコスプレと見分けがつかない裸に近いような女性とか、一気に “あちら側” の世界を認識した。

外国人の男性が女装していた。ピンクのカツラに胸を強調した皮の服を着ていた。日本人の男性が女装していた。金髪のカツラにドレスを着ていた。

女装した男性を見て質問が浮かんだ。ブサイクのなかにカワイイが含まれるルックスとブサイクのなかにブサイクが強調されるルックスの差異は何だろう。どちらもブサイクという集合であるけれど、ちょっとした”何か”の要素が集合の濃度を変える。でも、さらにブサイクは愛嬌があるの部分集合にすぎない。要は一瞬のファーストインプレッションの感覚であって、概念的にはユニークで愛らしい存在なんだと思う。

ただ、度が過ぎると社会へ侵襲してしまい環状線や山手線で余計なマンパワーを配備しなければならなくなる。文化の折り合い。Halloween の側の人たちと受け入れる側の人たちは1枚のガラスで仕切られている。透明だ。まったく気づかない透明の存在なんだけど、連続性の中に”異”が現れた時に透明のガラスはグレーへ変色する。#F5F5F5 ぐらいか。そして人々はあちらとこちらを認識できる。互いは両方の側からちゃんと見えている。排除や排斥がガラスをたたき壊さないかぎり絶妙なバランスを保持して。そうじて何かが起こった時にあのバランスは奇跡的であったのだと気づく。それはたいてい時間的に後から立ち上がる。遅れてやってくる。