凡夫

2011.05.20 晴れ

蒸し暑い。午前中はそうでもなかった、午後から。先々週、羽毛布団をしまいタオルケットへかえた。いく日かは肌寒い朝であった。近頃はちょうど良い感じ。

M社のリニューアルサイトのデザインを思案。まずはレイアウトとナビゲーション、カラーリング。設計するにあたってもっとも大切な点は依頼者の意図とユーザーのニーズ。来週の打ち合わせで意図を徹底的に伺うつもり。ニーズは現場の感覚や感触から帰納的にさぐる。意図とニーズをマッチングさせるために最適なUIと適切なファインダビリティをぼくが制作する。最終の目的はユーザーの行動を引き起こすこと。

16:00すぎに大阪へ出発。大阪駅で途中下車してLANケーブル(カテゴリー6)を3本購入。1,890円。自宅のファイルサーバー(FreeNAS)へのアクセス速度を改善したくてGB化。携帯電話のカメラが10Mピクセルなんておそろしいデジタル環境ではファイルのサイズが大きくなる。洋画とか700-800MBとかがデフォルトだしフルハイビジョンのファイルサイズなんてカテゴリー5でやりとりしてたら短篇でも読めそうだし。

19:00からM先生のミーティング。今回はスタッフの方々へよりそったコメントを申し上げた。院長先生へ多少の苦言を述べた。感情を害されたかもしれない。経営者は孤独。それを痛感しているし体感もする。そう承知していていても申し上げなければならなときがある。

以前なら自分がどう思われるか気になっていたしあたりさわりないコメントを残していた。いまは違う。M先生の医院を心底惚れている。だからクールにもえている。院長先生にもスタッフの方々にもクールに熱くふるまえる。ぼくにミーティングの醍醐味を教えてくださった。好かれようとかよく思われたいとかの動機を消し去ってくださった。そんな動機はどうでもよい。とにかくクールに。医院が最適な選択を判断できるようによりそう。

終了後、院長先生はいらっしゃらなかったが、スタッフの方々と院長先生のふるまいをおもしろおかしく愛おしくお話できた。Sさんの役割はステキですばらしい。「間」という難しい役割を細かく気配りしてこなしていらっしゃる。院長先生の孤独を慮る。Sさんの苦労を推し量る。上から目線を強く自覚しながら院長先生が変わられたことをみなさんへしゃべる。わずかの時間のなかで一昨年の記憶が再生される。

ほんと、もう大丈夫だ。

正法眼蔵随聞記 一 十三 仏々祖々、皆本は凡夫なり

『正法眼蔵随聞記』ちくま学芸文庫 P.56

ひとはいちばんはじめに自分に嘘をつく。自分は馬鹿だと嘆く。自分は鈍いと卑下する。嘆きや卑下は成長の肥料であり適度に必要だと思う。やりすぎすぎれば土壌は肥料やけする。

自分に照らし合わせて思い返す。馬鹿だと嘆き、鈍いと卑下して勉強しなくなる。そんなことしても。そんなもの読んでも。誰からも強制されていないのに自分で勝手に判定する。嘆きや卑下がやらない言い訳に使われる。

馬鹿で鈍いぼくであってもやっていて無駄だと理解できたら、理解できる馬鹿に進化したじゃないか。馬鹿か鈍いかは周りの評価だよ。それを気にして立ち止まっているよりも馬鹿で鈍いですって背中に貼り紙をはって走ったらよい。

たとえ周りが後ろ向きにはしっていると観察しても、どの方向であれぼくにとっては前進である。立ち止まる、居つくより進みたい。朝しゃべったことと正反対のことを夜にしゃべられるような人は躍動的で力強い(文脈によっては朝令暮改で迷惑をかけちゃうけど)。

ちかごろそんなふうに感じる。iPad 2のソフトウェアキーボードでもけっこう打てるなあって感動しながら。