虚襟

2011.05.21 くもり

むしっとした朝。明け方、頭寒足熱の布団はどこへやら。腹巻状態。頭と足はヒエヒエ。二十四節気第八、小満。太陽の黄経が60度。稜線の緑がくっきりしてきた。草は待ってましたっちゅうねんって勢い。ヒトはせっせと勢いを刈り取る。第二十二候、蚕起食桑。岩魚の塩焼きが頭からはなれないひとがそろそろ現れる。

06:00前に起床して朝食を食べてからM先生の配布物を思案。11:00前にきりあげて神戸へ。14:00からO先生と打ち合わせ。3Dのレントゲンを設置中。日本ではじめて導入される製品との由。ちょっとあわただしい。お邪魔虫を自覚して作業の様子をおそるおそる拝見。5分ほど。

作業完了までしばしの猶予を。場所を移してサイトの打ち合わせ。本論の前に先生から別件のご相談。ファイルを一箇所に集めて自宅や外出先からアクセスできる統合環境を構築していきたいと考えている。どう思いますか? と。

クラウド化(正確な表現じゃないけど)だ。

最近、ラップトップを持ち歩く時代じゃないだろうって感じはじめたと先生はおっしゃる。御意。ポイントは3つ。院長先生の業務フロー、統合環境のコンセプト、構築する技術の選択(OSや機器、ソフトウェアなど)をかんたんに説明申し上げて、具体的な内容は要件を定義してからにしましょうとお伝えする。

15:00すぎに終了して、医院へもどる。設置はほぼ完了してテストしていらっしゃった。

16:30ごろに大阪駅到着。本屋で調べものしてからスタバ読書。帰宅後、iPad 2を開封(この文章はiPad 2で入力している)。同じ日、中国の生産工場が爆発した。2名の方が亡くなった。ケガ人も多いとのこと。数日前にも書いたが、世界がモノを買えばどこかの国のひとが働いているという構図を体感した気分。複雑。

正法眼蔵随聞記一 十四 俗の帝道の故実を言ふに

『正法眼蔵随聞記』ちくま学芸文庫 P.58

「虚襟にあらざれば忠言を入れず」の虚襟の解釈に悩む。現代のニュアンスをそのまま適用しちゃってよかろうか。違うよなあ。じゃあ、いまとむかしのむなしいの違いを説明できん。自分の考えを持っていると師匠の言葉が耳に入らない。

素直や無心をもっとつきつめなきゃ。自分の考えを持って聞いていないと完璧に断言できる状態をさらに疑って、その疑いをさらに疑ってぐらいがちょうどよいのかも。無限にはまりこまないさじ加減で。

iPad 2はすばらしいです。iPad 2がすばらしいというよりタブレットデバイスの未来が楽しみ。この環境がデフォルトだなんていまの子供達がうらやましい。固定された眺望点からながめる景色は見なれていて心地よい。でも何か危なかっしい。あまりによすぎて、自分だけしかその景色を見ていなくて、気がつけば世の中の仕組みが変わっていてぼくは取り残されてしまっているような。

既存の枠組みの正統性を主張することと居心地のよさを宣伝することは違うよ。枠組みから出ていこうとする人の行動を否定しないように戒めておかないと。「そんなことしたらぼくは大丈夫ですけど周りへの負荷は高すぎますよ」とか「周りが疲れますよ」なんて言葉は「周り」を出汁にして現状の居心地のよさを訴えているだけなんだよね。すでにぼくの頭の眺望点は固定されてしまって既存の枠組みにとらわれて居心地のよさをすっかり満喫しちゃってるしなあ。