支度

2011.09.28 晴れ

朝夕はめっきり涼しくなったのに昼間は相変わらず暑いな、木陰は気持ちよいな、 ほどよい気温は腹を空かせるなんてつらつら巡っていたら、一度きりしかやってこない2011年9月は残すところあと2日、はたと気づいて何をしていたのか思い出せずあっけにとられて気が抜けて、問題は”それ”ではありませんよ。

第四十七候、蟄虫坏戸。人間はようやく秋を迎えて服装のテイストがぐちゃぐちゃになりはじめるいまの時期、虫たちはそろそろ冬ごもりの支度に入る。それでは啓蟄にまた会おうと別れを告げて。好物の真鯖がそろそろで、そわそわしても食べ過ぎはよくないとも伺い、自重している間に旬は終わっている。そんなもんだ、食と体のすれ違い。

マクドナルドの限定系はなるべく食べるようにしている(誰かに食べろと命令されてはいませんが)。注文は、いつも単品+コーヒーで。フライドポテトは食べない。一昔前だと「セットのほうがお得です」とハッキリおっしゃっらず、いくぶん奥ゆかしさを残してセットを注文してはいかがですか?的プレッシャーをかけてこられた。今はない。

バーガー+ポテト+ドリンクを単品で買うなら「セットがお得」は、ポテトを買わない人にとって魅力的でない。セットの感覚がそもそもない。

もう一つ、「セットでないのにセットよりお得」がある。フライドポテト150円+ドリンク100円の限定期間が重なると、携帯クーポンによっては、セットでないのにセットよりもお得。ただしこちらもフライドポテトを食べなければ得にならない。

マクドナルドに限らない。そもそもセットでなければならないでしょうか、と思う。お得だからとついつい余分なカロリーを摂取しているような気がしないでもない。まるでイオンの5%引きパスポート券を使うために買い物するようで、あきらかにイオンの術中にはめられているのについついまだいらない物を買ってストックしてして、しめしめ得したぞとほくそ笑んで、25円惜しんで500円支払う。

前提が違う、ってこういうことなんだって思う。バーガー+ポテト+ドリンクの3点消費を前提にするから「セットでお得」であり、2点消費の前提の人には「セットでお得」感はない。ポテト自体が存在しない。ポテトの視点がない。ポテトの概念がない。

前提が違うまま、同じレジに居合わせるから、会話が微妙にずれる。「かざす携帯」は、そういったズレを感じさせなくしてくれたし、非効率的な単語をお互いに発しなくてよく、そのままEdyで会計をすませば、「かざすクーポンとEdyで」の二つの単語ですませられる。あとは「コーヒー」か。コーヒーもクーポンでなくてもよいから「ブラックコーヒー」をかざせられたたらとてもステキだ。

前提の前段階には、基準としてカロリーベースがあるから、ポテトは選択肢からはずれる。でも、これもマクドナルドという枠組のなかでの前提であって、枠組をはずせば、「カロリーベースならマクドナルドへ行くなよ」であって、前提を「暗黙の前提」にしてしまって、どうもおかしいから言葉で確認したらズレているとわかってはじめからやりなおす、あの立体的な寂寥感はたまらない。