アップルパイがワープした

2013.11.19 薄曇り時々晴れ 風強し

[youtube:http://www.youtube.com/watch?v=os6IB1MdSBU]

Incognito – Still A Friend Of Mine でスタート。Incognito 「しばらく聴いてなかったなぁ」がない常時接続のアーティスト。仕事の合間、ずぅっと流していたり、移動中にシャッフルしたり。

おやつにパン屋へ。呼んだ。目が合った。残りひとつのアップルパイ。

アップルパイをトレーにのせた瞬間、「はあぁぁぁ」と素っ頓狂な声。すわっ! 何事や! と顔をあげたら還暦前後のおじさんが私を見た。否、正確には私の顔を0.01秒確認してアップルパイをじっと見た。

おじさんから見た「私 : アップルパイ」の比率は、0.01 : 9.99 だと私は認識した。

「ひょっとしてこれですか?」

“か?” が私の口から虚空へ飛び出す間もないぐらいのタイミングでおじさんは「そう!」とおっしゃった。

「でも、ええよ。ええよ、ええねん」

ものすごい恥ずかしそうにおじさんの首が振り子運動をはじめる。

「あっ、いえいえ、どうぞ、どうぞ」

「そんなん悪いわ、ええねん。ええねん」

「ほんまどうぞどうぞ」

ええ歳した男ふたりがガーリーなパン屋さんでアップルパイを囲んで、電車でもここまでお互い「どうぞ、どうぞ」しないであろう密度で「どうぞ」を連発。

ついにおじさん、「そおぉぉ、実は、これ楽しみにしてたの」と…..、ちょっと、あ、アレ、な、なんか、そのもじもじな感は、あっ、あれ、れ、な感じで、私のトレーの上にあったアップルパイをご自身のトレイへワープさせた。

歳を重ねるのは不思議だ。昔の私は素っ頓狂な声でノイズフィルタのスイッチがオンされたはず。いまの自分はどうも違うらしい。アップルパイもおじさんに食べてもらった方が本望だし、こちらもかつてと異なる自分を認識できて僥倖である。

好悪の激しさは変わらない。ただ尖り方が変容しているのかも。

( きのこです。さんぽでみつけました。でもどうやってここからはえてるのかしらないんです。せいぶつやしぜんのしくみをべんきょうしたい。”れいちぇる”せんせいがそんなことをおはなしをしているんです。なんにもしらないんですがすこしずつおぼえていきます。 )

きのこ

ときおり襲いかかる迷い。何のために書いているかわからなくなる。

うまく書けるわけはない。思うことは書きたいと願う。でも書けない。

自分の内に瀰漫する「何か」をどこへ向けるともなく放擲する。「何か」の負荷に我慢できなくなって減らしたくてどこかへ置く。誰が拾うかわからない。放擲する手段は言葉。言葉は直線か円錐曲線を描く。ときに弧を描いて我へもどってきて身体を射貫く。

モノローグに苦しくなってきたときに襲いかかってくるんだと思っている。ダイアローグがあってこそのモノローグだろうけど、モノローグしかないような焦燥感が身をくるむ。

もっとがんばらんと。