2016年 琵琶湖 初日の出

多幸

2016年 琵琶湖 初日の出
*FUJIFILM X-E1 *FUJINON XF35mm f/1.4 2016年元旦

自分はいったいどこから来て、どこへゆくのか、自分がたかだか百年にもみたぬ人生を、この無限の宇宙の中の地球と呼ばれる星の上で過ごすことに、どんな意味があるのか、そんな疑問にとらわれたことのない人間はいないだろう。(中略) 自分にこだわるよりも、むしろ我を忘れて自分を超えた他人の世界にかかわってゆくことに、あるべき生きがいを見出そうとしていると言えるかもしれない。どんなに他人のためを思っても、それが結局自分のためであるということを承知の上で、自分を超えたものに自分を働かせてゆきたいと考えているけれど、そういう考えを支えているものはもしかすると、不死ではないぼくの肉体によってのみ存在を許されているぼくの魂というものかもしれない。その魂はまた、精神によって否定されかねない、なんの役にも立たぬ永遠への郷愁をひそかにかくしているものかもしれない。(谷川俊太郎 『一時停止』 P.140)

(看護 一九六七年七月)と記されていた。
谷川俊太郎さんが36歳のときに書いた散文の一節。

あと数時間で年が明ける夜に読んだ。
硬質な無垢にふれた。

人と人が絡み合い、たくさんの関係が生まれ、時空を分け合い継がれていく。
それが幸せなんだろうと境界の想像から見る。

多幸を祈る。

純正な沈黙の石を心に置く。
今日を過ごそう。