彼岸花
diary

会話は待つこと

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Twitter、隠語ではツイッタランド。フォローしている方が、時事問題についてさえずる。そのさえずりへ誰かが返信(リプライ)する。荒っぽい返信が初対面の方を食ってかかる。実生活なら通りすがりの人にいきなり殴られたかのよう。さえずった方を不愉快にさせる知見のない返信は、クソリプとよばれる。

クソリプと言わなくても、眉をひそめるリプライが目に止まる。BIOやTweetから社会的地位を確立した人、多角的に勉強している人、その他賢い人たちと見受ける。リプライは我を押し通す。相手の意見を全否定。Twitterでのクソリプや一方的な開陳は、見慣れた光景。

私の実生活だと、クソリプとごいっしょする機会はない。交流範囲の広い方は、実生活でこういう人々といっしょに何かしなければならないだろう。気疲れしそうだ。ただ、実生活とTwitterとでは、人格が異なる方もいらっしゃるので手強い。

我を押し通し、相手の意見を全否定して、なにを学ぶのか不思議。そもそも学ぶと言ったらダメ。「私は相手から学ぶためにリプライしているのではない」と突き返されるのがオチ。

まわりから認められたい欲求は多寡を問わずに持っている(持っていない人もいらっしゃる)。欲求の表し方は千差万別。なかには思考と知識を自慢したいのに、一人で書き連ねていても、まわりから認められそうにないから、だれかと絡んで確かめてみたい人がいる。その相手を探す。おおよそ自ら優位の判定を下す。欲求は満たされる。

そんなふうに役に立たない想像を膨らませる。もっと膨らませよう。

自ら優位を下す人は判定できるテーマと相手を選んでいる。まさかアインシュタインに思考と知識を自慢しない。でも、アインシュタインなら自慢されても微笑んで聞き流してくださるかも、と『ひとはなぜ戦争をするのか』(講談社学術文庫)からの当て推量。一つを極めた人は、それ以外の事柄に対して謙虚に向き合う。

選ぶテーマは社会科学や時事、社会問題。マウンティングしやすいみたい。数学をテーマにして、思考と知識を自慢している人は見かけない。たいていは、女性の労働や少子化、家事、差別、貧困、障害者…いろいろ。自然科学はゼロに近い。テーマが自然科学の場合、対話より議論であり、議論は前提と定義を要求する。それらがはっきりしなければ、議論は進展しない。

対話、議論、会話。なんであれ、誰かと言葉を交わすことは悩ましい。なかでも会話は手こずる。会話はジャムセッションみたいだ。のべつまくなしに小言をいったら続かない。自分ばかり話しても裸の王様。むしろひたすらオウム返しで会話が成り立つ。会話の妙、奥は深い。

さらに会話、話すよりも聴くほうが、いっそ悩ましい。そう感じたころ、「聴く」にまつわる本を読んだ。すべてすっかり忘れてしまった。本は処分した。手元に、『「聴く」ことの力―臨床哲学試論』, 『「待つ」ということ』(角川選書), 『プロカウンセラーの聞く技術』が残っている。なかでも『「待つ」ということ』は、所作の転換点をもたらした。

カウンセリングにおいてなにより肝要だとされるのは、相手の言葉をなんの留保もなしに受けとること、まちがっていると思っても反論せずにいったんは言葉をそれとして受けとめることである。そのために多くのカウンセラーは、相手の言葉を確かめるように一言一句反芻する、そのような訓練を受ける。(中略)カウンセリングや傾聴もまた<待つ>を事とする。言葉を迎えゆくのではない。言葉が不意にしたたり落ちるのを、ひたすら待つのである。
鷲田清一 『「待つ」ということ』(角川選書) P.66-67

「カウンセリングにおいて」を「会話」におきかえる。相手を否定する気持ちがこびりついていたら、会話ははずまない。ことあるごとにひと言返す性癖もしかり。ときには楽しくない会話や悲しい会話をしなければならない。でも、相手を不愉快にさせてまで会話しなてくよい。それなら伝達で済ませられる。

もし、「相手を不愉快にできたら私の心は満たされる」という性癖ならば、私には手に負えない。一目散に逃げる。幸いそこまで性悪な人はまわりにいないのに、Twitterで抱く疑問。相手を不愉快にさせてまでやりとりしたがるとき、自分の心は損なわれないのだろうか? 自らうまく処理できない感情を抱いてでも相手を不愉快にさせる。ヒト固有の行動? 言動の源泉はなんだろう。

自らうまく処理できない感情は、怒りから体感できる。たとえ義憤でも、怒ったあとにやってくる、イヤな気持ち、心が底なし沼に引きずり込まれる暗鬱な気分。怒りの対象が消えてしまっても、残るしこり。

心が損なわれているかいないか、本人だけがわかる。私からは判断できない。心が痛まないのか懸念したとて、本人の自覚はさにあらずなら、これからも不愉快にさせるし、怒る。

不思議は不可知。

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