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フリーズする脳

  • 2006-04-22 (土) 16:05
  • review

フリーズする脳―思考が止まる、言葉に詰まる最近、フリーズをたびたび体感している。年のせいかと思っていた。ひょっとするとちがうかもしれないと、読書中に反省。ざっくりと解釈するなら、フリーズする脳には環境が起因しているらしい。とはいえ、「なぜそうなるのか」といったプロセスを理解しようとするなら、医学的専門知識を学習するのが急がば回れなのだろう。到底学習できないので、「フリーズする脳」を覚えておき、日常生活で「頭をつかう」を意識したい。

「…」 (あれ?今何を言おうとしていたんだろう?)まるでパソコンがフリーズするように、不意に言葉に詰まる。度々思考が停止する。人や物の名前が思い出せなくなる。そういう「空白の時間」が増えている気がしないでしょうか?放置しておけば深刻なボケ症状につながりかねない&quto;フリーズする脳&quto;の問題を、臨床経験豊富な専門医が語る。現代人の脳に今何が起きているのか。『フリーズする脳―思考が止まる、言葉に詰まる』

先生は、第三北品川病院に「高次脳機能外来」を開設し、何千ものボケていく脳を診てきた。その経験からはっきりと判ったことが、二つある。

  1. 「脳はボケるようにできている」
  2. 「脳は環境によってつくられている」

加齢によって脳は機能低下すると思われがちだが、そうではない。脳は正しく使い続ければ、いくつになっても若々しさを保つことができる。「ボケ症状」とは、簡単に言えば、思考・感情・注意・認識などの能力が著しく低下することを言う。脳の中では、130億個あるとも言われる神経細胞が、高度に複雑なネットワークを形成している。このネットワークは使われなくなると衰退し、個々の神経細胞は無意味な集まりと化してしまう。その結果引きおこされるのが、「ボケ症状」である。

そして、環境によっては、神経細胞ネットワークが使われなくなる。脳は本能的に楽な方へむかう(とういことは、人はそう選択してしまう)。使っていない機能はどんどん低下する。

近年、初期のボケ症状を患った人が、若年化している。原因は、脳の使い方が「偏って」いると推察される。本書には10人の患者が登場する。いずれの方も普通の人である。

  1. 商談中の最中に不意に言葉が出なくなる、人前で話すのが怖くなった証券マン
  2. よく知っているはずの名前が思い出せない、思考がちぎれいてく大学教授
  3. PCの前で頻繁に自失する、空回りし、疲弊していくシステムエンジニア
  4. ネット依存的な生活を送っているうちに、物忘れが激しくなった総務部主任
  5. 会話の相手が複数になると、話が聞き取れなくなる、頭に入らなくなる営業マン
  6. 転職先の企業で度々思考停止状態に陥るようになったエリートビジネスマン
  7. 文章が思い浮かばなくなり、偏執的に見直しを繰り返すフリーライター
  8. 上司になった途端、考える力が衰え、仕事ができなくなった元「優秀な部下」
  9. すぐ感情に支配され、頭の中が真っ白になる、元「冷静なキャリアウーマン」
  10. 集中力が続かず、空白の時間が増えていく、「勝ち組」志向の司法浪人生

どのケースも治療というよりは、カウンセリング+訓練といったように、素人目には映った。にしても、3.4.7.あたりなどは、自分も似た環境であり、人ごとでない。

思い当たる節はある。たとえば、ブラウザのブックマークがそうだ。「ブックマークに追加して終わり」である。偶然にも本書を読む前に、自分のブックマークを数個残して削除し、RSSも真に読みたいもの以外は削除した。なぜなら、よくよくふりかえってみたら、使っていないと思ったからだ。いざ削除作業を始めると、「自分は一体何を求めているのか?」と問いかけざるを得ず、しばし、戸惑ってしまう。自分がいかに機械的というか儀式的に保存していたのかが実感できた。

  • ブックマークに保存してあるから、いつでもアクセスできる
  • 検索すれば、必要な情報にアクセスできる
  • 記憶しようと、また熟考しようと意識してサイトを読んでいない

つまり、「思い出せない」という原因のひとつに、「ネットを記憶のかわりにしているlという錯覚を自分のなかで起こしているのだと思う。だから、先生の言う「まっ、いいか」が多くなり、必要な時に出力できない「フリーズした脳」になっている。

脳には「基本回転数」とでも呼ぶべきものがあります。単純に頭の回転の速さと解釈していただいてもかまいませんが、この基本回転数を決めているのは、基本的に本人の意志ではなく環境です。環境に忙しさがないと、基本回転数は上がらないと私は考えています。同P.159

「仕事は忙しい人に頼め」と言われるのは、この基本回転数が関係していると先生は言う。つまり、忙しい人は基本回転数が高回転の状態で維持できているから多くの仕事に対処できる。反対に、それほど忙しくない人は、基本回転数が落ちているので、急に忙しくしろといったような仕事をまかされても対応できない。

「フリーズする脳」を防ぐ方法は、ありきたりな言い方をすれば「バランスよく脳を使うこと」だと思う。「バランスよく脳を使う」ための説明は、随所にある。読み書き、音読といった基本的なリハビリからはじまり、机の片付け(高次脳機能らしい)や朝1時間程度歩くといった日常生活でも実践できるものまで紹介されている。

自分の場合、

  1. "知っている"ということは、ネットで"検索できる"ことではない
  2. 記憶するとはどういうことか
  3. 記憶した情報を自在に入出力できるか

という3点を問い直すいい機会になった。

それにしても、1冊読み終える毎に素っ頓狂な疑問がよぎる。今回は、「脳の成長ってどうすれば自覚できるのかなぁ」だった。フィジカルな成長は目に見える。一方、メンタルな成長は目に見えないが、他者が評価してくれる(かもしれない)。だとすると、フィジカルとメンタルを司るブレインにも成長があってもいいのかなぁと愚考した末にでてきた疑問。我ながら、「バーカ」と罵って読了。

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