インターネットでできることを考えた糸井氏

1日100万ヒットの「ほぼ日刊イトイ新聞」のサイトを運営している糸井重里氏のインタビューです。

日経ビジネス 糸井重里氏インタビュー

私は、糸井氏に対してもつ人物像があり、今回のインタビューを読んでもそれを感じました。それは、「とてもイメージ的な自分の言葉で表現する」という点です。

「インターネットの長所を最大限活かしたコンテンツやサービスを創造していくには、どのような姿勢でサイト運営に取り組めばいいのか?」をインタビューで述べています。

そのテーマに対して、糸井氏が『「ほぼ日」を育てていく過程で、常に「”インターネットだからできること”と”自分だからできること”」をリンクさせてコンテンツづくりに試行錯誤してこられた』ことがみえてきます。

ところが冒頭に述べましたように、糸井氏が答える内容は、「何か頭の中でイメージしていることをそのまま言葉に発している」ような印象を、私は受けます。

今回のようなテーマのインタビューの場合、他の識者ならネットマーケティング理論!?を論理的に説明されたり、ときには評論家的に答えたりされるケースがあります。そのようなインタビューは、明快な論旨で論じられているため、一読すると理解できたかにみえます。ところが情報を自分で加工して知識にまでできたけど、知恵にまで昇華させるための実践ができないようなジレンマに陥ることもあります。

一方、糸井氏のインタビューはイメージ的言葉の連鎖から生まれる表現が散見し、自分なりに咀嚼しようとすると、文脈の前後関係からだけだと「?」と思うときがあります。しかし、そのまま続けて読み進めて全体の文脈のなかで、「?」をふりかえると「ああ、ナルホド」と納得できます。そして、自分が実践できるイメージが描けてきます。

それはなぜか?と考えてみると、ありきたりですが、「ここ日」の成果を、「自分の言葉」で伝えられているからだと思います。例えば、私がお客様や自身のサイトのコンテンツを考えるとき、「ここ日」にアクセスしながら糸井氏の言っていることを思い起こします。すると、

つまり、人が物を買わなくなったという分析は、専門家の方々がいろいろな形で言っていますけど、僕の実感では、実は人は物を買いたくてたまらないんですよ。でも、買わせてくれないんですよ。買いたくなるような環境を与えてくれない。今でも売っている物が、本当は求められているのに買われないんですよ、たぶん。

のような意味が少しづつわかってきて、新たなコンテンツが浮かびます。糸井氏の言葉は、読み手が当事者としてオーバーラップできたときこそ、輝きをおびてきます。

今回のインタビューも、私なりにオーバーラップさせてみると、金言がたくさんあり参考になりました。