[Review]: アメリカ・インディアンの書物よりも賢い言葉

アメリカ・インディアンの書物よりも賢い言葉 (扶桑社文庫)

さきのエントリー、「私」ための現代思想が叡智ならこちらも叡智だ。ただし、叡智を育んできた背景はまったく異なるのではないだろうか。「生」と「経験」から身体が感じた畏怖を修飾せずに言葉にした教え。数多くは述べないけれどそれだけ知っていれば豊かにしてくれる、あとは自然と向き合って生きていけばわかるとでもいいたげな叡智の継承。

人と人の輪や自然との調和を大切にして、慎み深く暮らしてきたアメリカ・インディアン。彼らは、あるときは物語を託し、あるときは素朴な生き方そのものを通して、その叡智を継承してきました。本書は、アメリカ在住の日本人女性が部族の長老や賢者たちに教えを請い、交流のなかで直接伝授された、そうした知恵の数々をまとめたものです。貴重ですが飾らない叡智に満ちた言葉には、心を眩しく照らす珠玉の輝きがあります。不安と不信が渦巻く今こそ、率直に耳に傾けてほしい優しい癒しに満ちた一冊です。

『アメリカ・インディアンの書物よりも賢い言葉』

ひとは山と蟻の中間だ。—–オノンダガ族の格言

自然から離れれば、こころが頑なになる。—–ラコタ族の格言

山猫は敵に出会っても決してあわてない。じっと観察して密かに戦略をたて望みを遂げる。—–ポウニー族の格言

食べている子供に語れば、親が去った後にもその記憶が残る—–ネズパース族の格言

答えがないのも答えのひとつ。—–ホピ族の格言

知識ではなく、知恵を求めよ。知識は過去の産物だが、知恵は未来をもたらす。—–ラムビー族の格言

思考は、矢のように放たれたら、的を射る。注意しないと自分の放った矢で倒れることになる。—–ナバホ族の格言

感謝する理由がみつからなければ落度はあなた自身にある—–ミンカス族の格言

生きている間によく生きろ—–アパッチ族の格言

どんなことも7世代先まで考えて決めなければならない。—–イロコイ族の格言