見たから欲しい

墨納戸空比古デニム

南堀江のお店の中で此奴の前に立ちレクター博士の言葉を思い出す。—–No, we begin by coveting what we see every day.

切望するから見るんじゃなくて見るから切望しちゃうのかね。カッチマッタ

墨納戸空比古デニムの加工タイプです。人の手によって加工しております。股上は浅めではなく、ヒップ周りに少しゆとりを出した、ヴィンテージタイプのシルエットになります。空比古デニムは生地に凸凹感があり、穿いていく毎にアタリが出て色落ちをしていきます。*水洗いをしておりますので、1本づつ若干のサイズ誤差が生じております。

まぁはいた時の具合の違うこと。驚き。おまけに1本1本落ち方が違う。だから自分にあうサイズのデニムがお好みの落ち具合かどうかドキドキだべ。インディゴに墨で染めて織り込み。シルエットと質感にハマッチマッタ。でも今のところ手元になし。もちろん裾を切り落としてもらわんと”松の廊下”になっちゃうのでよろしくない。で、「どれくらいかかります?」って聞いたら、ナント…..1週間以上。

こっちとら「何時間?(その間心斎橋でウロウロしているから)」って軽い質問だったのに。スタッフの回答に「そうですかぁ」ってハニカミながらドン引き。なんでも、切った裾の部分ももう一度色を落として、「いかにも切ってませんよぉ」って加工してもらうのに時間がかかるらしい。手の込んだ作業なのかな。無料だけど、もちろんそういった加工賃もコミコミのプライスなんだろうね。

「物の価値とはそういうものですよ」

春風堂(澤村藤十郎)の言葉を思い出す(mixiのプロフィールで紹介しているように古畑フリークなもんで)。何かにつけて屁理屈をこねくり回して衝動買いを認めたくない自分をかばいながら分析する。バカ。しかし実に不思議だ。1ヶ月本を買うのを我慢しなくちゃいけないかもしれないなぁとため息をつく。いつもなら本を買ってくると「また本が増える」とプンプンするのに、デニムだとニコニコしている。”同じ値段”であっても異なる感性。なるほど、共同生活とはそういうものか。日常のなかに題材はいくらでもころがっている。