文部科学省族が中枢だから

オレたちの世代はとのたまう方々(代表格: 参照1,2)が高校生だった頃の制度と、「なぜこうなったのか?」の原因と推測される現在の制度は違っただろうと私は愚考します(参照 asahi.com: 履修漏れ、世界史必修化が契機か)。

高校卒業に必要な科目の履修漏れが相次いでいる問題で、多くの高校は90年代半ばか00年代前半のいずれかで、「偽装」を始めていたことが分かった。学校によって時期に若干のばらつきはあるものの、94年度から世界史が必修になったことと、02年度から公立学校の完全週5日制が導入されたことが大きなきっかけになったことがうかがえる。

なので、学校や高校生を批判している上の世代の方々がたまたま「なにもなかった(かもしれない)制度の時代」に卒業しただけにすぎません。自分を固定して物言いをつけています。地方に有力な大手予備校がなく、高校が予備校の役割を担わざるを得なかった環境を想像すると、その地域ならではの「事情」があったはず。それをカウントして、その地域を妄想して言葉を紡いでいるのかいささか疑問です。

事は教育の問題から政治の問題へ移行しつつあるような感じがします。今の政権派閥は、文部族のドンですから力学が作動するでしょう(善悪是非は別ですが)。

今は高校生を不安がらせないこと、と同時に、たとえ補修で弁当を喰らおうが、他の科目を勉強しようが、うざかろうが、「建前とはそういうものだ」を教えられるかが先生に与えられた課題なのかなぁと思います。これも外野の無責任な発言ですね。

ただ、今回とにかく首をかしげるのは、「なんで安倍総理に交代した矢先に、今の時期にこの問題が噴出したのか?」という疑問です。そもそも何を端に発してこの問題が露見しのたでしょう。

「世界史が必修で日本史が選択」という現在の制度と「日本史を必修にすべき」という官邸側の意向(10/20 Sankei Web 高校日本史を必修科目に 伊吹文科相)をここ1ヶ月の記事のなかからピックアップして、バラバラになった単語をリンクさせていくと、「げすの勘ぐり」となるわけですね。というのも、新聞各社のウェブサイトを眺めていると、10/24に未履修問題を報じています(参照 Sankei Web: 受験に必要ない…必修科目授業せず 生徒、留年のピンチ)。朝日も同じ。

富山県立高岡南高校(篠田伸雅校長)で平成17年度、「受験に必要な科目を勉強したい」との生徒の要望を受け、当時の2年生(約200人)の8割に、学習指導要領で必修の世界史の授業をしていなかったことが24日、分かった。

ただ、どこからどのような経由でなぜわかったのかはわかりませんね。不思議です。すでにどこかで報じられたのでしょうか?

事が起こったあとのコメントは、おおよそ「今から考えると」風に、起こった事象を勘定に入れた偏見で、過去をふりかえりがちです。そのあたりを差し引いて報道しているのか読み手もあて推量です。今をとりあえず「」に括って、いまだ何も起こっていないという前提で折り合いをつけてほしいものです。とにかく高校三年生のみなさんの受験がうまくいくのを願うだけです。ただ、「バブル崩壊後未曾有的就職氷河期」を経験した世代からすると、その4年後、就職のときどうなっているのかって考えて、「時の運とは因果なものだ」と惚けたりもしますが。世代をのりこえたいものです。