世界へ配信されます

いじめ動画流出、加害生徒も広がりに驚き 「プロフ」が発端

この動画が第3者によって一般の動画投稿サイトに投稿され、掲示板「2ちゃんねる」などで話題になった。その後、学校に「取材」と称してかけた電話を録音し、ネットでそのやりとりを流す者が現れたり、掲示板に「学校に集団で押しかけよう」とする呼びかけが書き込まれたり、予期せぬ事態に発展した。

いじめている様子を携帯電話の動画撮影機能で録画して「インターネット」にアップしたら、まさかその動画が世界へ配信されるなんて、さらに、その後の広がりに加害者自身も驚いた、らしい。

「想像力の欠如」や「予測する能力が貧困」など批判できるだろうけど、なにより、「インターネット」の仕組みを理解してなさそうなところにチト吃驚した。「自分以外半径○○メートルの空間」はあちら側で通用しない。でも、SNSがリリースされて以降からか、「閉ざされた空間」みたいな意識が芽生え始めたのか。

それとも列車の感覚がリアルからバーチャルへもちこまれたか。4人の乗客が列車にのってシートに座った瞬間、そこは「世間」と切り離される。1人で座っでも「区切り」がある。

ダイアルアップのころ、パソコンだけあちら側につながった。マトリックスのように「進入」の儀式があった。「ああ、今からネットにつながるなぁ」という意識が一瞬頭にうかび、それから「時間」を気にしながわら渡り歩く。「現実」の時間が「仮想」の世界へ持ち込まれ、限られた「空間」に身をおく。

今は違う。「儀式」がなくなり、「現実」の時間は消失し、「空間」が広がりつつある。「境目」を自覚する間もなく、突入する。パソコンだけでなく、携帯電話、PDA、ゲーム、身の回りの物質がタンクに連絡せずにつながる。

大人が子供に伝えることはそんなへんじゃないかなぁと愚考。

いじめの構造 (新潮新書 (219))

いじめの構造