微々

2010.07.03 雨のち曇

今まで貯めておいた水をひっくりかえしたみたいに朝から雨が降った。そんなに雨が欲しいならくれてやると言わんばかりの手加減なし。恵みの雨と喜ぶ人がいて面倒な雨とむくれる人。自分は傘を怖がる人。

午前中、F先生のDBを制作してから正午過ぎに神戸へ。15:00からO先生と打ち合わせ。AAEの会議から帰ってこられたかと思ったらPRDのシンポジウムへ出席されてとお忙しいなか時間をいただいて我が身がちぢまる。O先生は制作を進められないのが気がかりでしょうがないとの由。ありがたく嬉しい。

3時間ほど打ち合わせ。経営やブランディングの相談があり、告知の媒体を検討、歯内療法や歯周治療のオペを拝見して解説してもらう。O先生と10,800秒間話をしても疲れない。いつも感じる不思議。

頃合を見計らってサイトの現状を数字で伝える。アクセスログから判明したサイトの状態をまず伝えてからベンチマークした数字と比較した。比較の結果にショックを受けられた模様だった。

現在の歯科医院のサイトはインプラント戦国と表現したくなるような群雄割拠で、広告の文章はおだやかでなくなり豪華絢爛のルックスは笑顔を絶やさない。ユーザは医療技術の内容を完璧に理解できない。ユーザは文章を読んで納得できる範囲が多かったらそのサイトは「よい」サイトと判断される。ユーザはサイトから雰囲気を読み取ろうとする。

雰囲気をアピールするために動画を使った歯科医院のサイトは増えているし、設備の隅々まで写真を綺麗に撮影して、専門用語をまじえて「きちんとしています」感が演出される。

「私たちは三脚を使ってピントを合わせてホワイトバランスを調整してRAWで撮影してから現像します」とアピールしたら、一般の方々は「そこまでしてるのか」と受け止めかねないけれど(そんな人は少ないと思うが)、”撮影できます”をほんのちょっと巧みに表現したらそうなる。この巧みなテキストがますます器用になっている。

さらにSEOの事業者も歯科医院向けのSEOは大きな収益源だから手の込んだテクニックを駆使して順位を上げていく。SEOに有利とふれ込み動画のポータルサイトを立ち上げたり、アメリカのサーバを使ってギリギリのリンクファームを運営する。

「技術」の情報は属性によっては判断できないし、情報の格差がある。僕が普通免許を持っているからF1カーを運転できますと書けば、99.9%(一応、ゼロにしないでおきます)の確率で嘘を見破られる。もし、F3カーを運転できて免許も持っているとして、セナ足でドライブしてますと書くと確率は下がる。建築士の先生が耐震構造を計算できると書いてあったら自分は判定できない。

自分がサイトを制作する時、先生の「”情感”・”論理”・”(ゆるぎない)技術”」を伝える外連味ない設計をコンセプトの基礎に置いている。そのサイトをご覧になったユーザが共感してくださり自ら判断して行動してくださればと願う。なぜなら、その対象を選んだユーザにも責任の一端があるからだ。

伝える側と伝えられる側、双方に適当な義務と責任があるからほどよい緊張感と末永い信頼関係を築けると思う。1,000人がアクセスして1回限りで終わるより、100人がアクセスして10人がステキなヒューマン・リレーションを結べるようなサイトを作りたい。