洞察

2010.07.23 晴れ

大暑。7月22日頃にあたる最も暑さが厳しい日。太陽の黄経が120度。屋内で熱中症を発症して亡くなる高齢者が多い。自宅は冷房をつけない。すべての部屋の窓を開ける。風が抜けると体感温度はずいぶん下がる。気持ちよい。風が止まると汗が噴出。屋内で発症した高齢者の方々は窓を閉めているケースが多いと読んだ。

11:00前に自宅を出発。列車の中は肌寒い。カバンから小さなバスタオルを取り出し肩から羽織る。無印良品の婦人衣料品のコーナーで胴体のないストールのようなウェア、まことに変な表現だがどう書いてよいのかわからない、袖だけ通す服を見かけた。身体が小さくなって婦人用ウェアでも入るかもと思ったので試着してみた。ザンネン。男性用にもそんなアイテムを販売してほしい。

13:00からF先生のミーティングに参加。15:00まで。最後の10分ほど時間をいただいたので伝えておきたかったことを話す。

自分は経営者の方々から人の相談を受ける。自分は事業主であるけれど人を雇用していない。雇用した経験のない自分へ人の相談をよせられる矛盾をどのように自己査定すればよいのか定まっていない。

個々の相談は独立した事象だからそれぞれに実効策は存在する。専門家は実効策を提示する。実効策は技術的知識と情報から構成される物事のやり方だから、やり方をこなせばこなすほど効果を検証できる。結果、成功事例のやり方が蓄積される。残るは効率。A医院で通用した策をB医院へ適用して策の実行効率を向上させる。B医院にとっても成功事例を踏襲するから素早く実行できるし効率がよい。専門家にとっても短時間で高効率だからフィーに見合う。

一方、自分は専門家のプロセスを踏めない。実効策を提示できない。アイディアまで考える。独立した事象からアイディアを提示するまでが設計だし自分の商品である”歯科医院をデザインします”のコンセプトにあたる(昨今は”デザイン”がデフォルトになったのでもうそろそろ次の単語を探さなければならない、書店で平積みされるようになるとおしまいだ)。

独立した事象からパターンを探す。パターン化の作業は実効策と関係ない。洞察に必要な要素を抜き出す。残った記録からツールを活用して要素を言葉と図で表現する。

次にパターン化作業によって抽出された要素、単語と図で表現された要素を分類する。分類は難しい。そもそも「何」を「何」に分類するのか。分類群。

WordPressを勉強し始めてタグを知り、それがきっかけでタクソノミーをかじるようになった。 『アンビエント・ファインダビリティ ―ウェブ、検索、そしてコミュニケーションをめぐる旅』 は「構造の設計」を教えてくれた。どんなに有益な情報がネットワーク上に存在していたとしても、ユーザが見つけることができなければ何の意味もない。「見つけやすさ」を表す新しい考え方。

分類された要素を構造化して一言へ集約する。アイディアは一言集約されていなければならない。

今回のF先生のミーティングで紹介した一言は「”しなければならないこと”と”したいこと”」だ。両者がズレるから問題が発生する。「しなければならないことは拒否され、したいことは受け入れられる」

しなければならないことの主語は? したいことの主語は?

「私がしたいこととあなたがしなければならないこと」がズレたとき、両者は不満を述べる。両者の評価は大きく異なる。自己評価が相対的に高く他者評価は絶対的に低い。

ミーティングでもらった10分ですべてを伝えることは不可能だ。伝えたつもりはまったくないし、伝わったとも思わない。それでも、自分にとっては一回性と緊張感を保持したいからあえて自分の我が儘を押し通した。

15:00に終了した後、1時間ほどF先生と打ち合わせをしてから二人で出かける。戻ったのは18:30前。その後ご自宅で少し頭を休めてから19:30にスタッフの方々といっしょに食事へ。22:30終了。

自分にとっては反省の多い一日だった。慇懃無礼な応対を修正したいのに尊大な口調で発話してしまう。余計なフレーズや自分の知識をひけらかす。適度に適切に端的に。シンプルでリファインな表現からほど遠い。

その反省をのぞけば自分にとってF先生はやっぱり原点なんだと実感した。