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心地よい緊張感

2013.08.02 晴れ

[youtube:http://www.youtube.com/watch?v=dKGweZ0Y_OI]

青谷明日香 – さよならくじらぐも でスタート。「自分の足だけがコンパスと気づく」「白か黒かもわからないことを 白だ黒だと言い切れるのが素晴らしい」「ひとりぼっちで覚えた強さが どんないばら道でも あたたかい毛布で守ってくれるでしょう」(いずれも耳からの変換) こんな言葉を書ける人が心底うらやましい。

12:00前に大阪へ。13:30スタート、ミーティングに参加。院内のデータ管理に使うExcelファイルの入力方法を説明。説明は難しい。こちらははじめからおわりを把握している。スタッフのみなさんは知らない。

立て板に水のしゃべりは無駄。相手の意識はメモとりに奪われる。私が考えていることを相手に理解してもらう。私の考えた道筋を吟味していただく。その共同作業が説明だと思う。

相手が迷いそうなポイントをこちらは知らない。その前提に立つ。慎重に進める。脇道にそれない。最短距離をゆっくりゆっくり進む。

15:00終了。大阪駅で途中下車してタワレコへ。“異端児の城” 青谷明日香 を探す。ない。かわりに“夜はミカタ” 青谷明日香 があった。こちらも買う予定だったので、迷わず購入。

「悲しい夜も、さみしい夜も、いつかミカタになればいい」の帯。言葉は人を傷つけると怯えていたら、希望さえどこにしまったのか忘れてしまう抽斗へ押し込められる。

信じる糸が言葉の想いを紡ぐ。

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*FUJIFILM X-E1 *FUJINON XF35mm f/1.4

懐に入ってくる。懐にはいくつも部屋がある。ひとつの部屋しかなく開放している人がいたらお目にかかりたい。きっと大人物だろう。

いくつもの部屋があり、閉じたり開いたり。閉じっぱなし、開けっ放し。永久に閉じたままもあり、透明の扉もある。

中心があり、円形に配置された扉。あるいは重層的に展開する扉。一つの部屋のなかにまた扉がある設計。いろんな「懐の形」があると想像する。人の数だけある懐。

すっと入ってくる。開いていそうな扉を嗅ぎ分ける。開いて欲しくない扉のノブを持っても回さないセンス。話すように聴く人だ、たぶん。そういう人の前に立ったとき、何かを話したくなる。

発話された言葉、ディスプレイに現れた言葉、それらの語感と余韻を掬いとって、ノックしてはいけない扉を慮る感性。

それらを備えた人がいると思う。

余韻と語感を掬いとって、なめらかに侵入してきて、長居せずに軽やかに去る。居たのか居なかったのかわからないぐらいの軽やかさが残す匂いと輪郭。またやってきて違う扉のノブを回す。繰り返す。

近づけば近づくほど、匂いと輪郭は心地よい緊張感を帯びている。

そんな風景を想像してみた日。