過去と現在と未来は直線でつながっている人、それぞれが独立している人、円環を描くように時間を歩く人。72億の時空。この瞬間にも誕生している時空。一人で向き合う時空があり、二人が絡み合う時空もある。
埋められない空白を前にしたとき、人々はどう対峙するだろう?
私は空白を暗闇にしない。
埋められない空白を前にして自分を損なうことはしない。
「貴方は、言葉を駆使して、自分の歩いてきた道の舗装をされているだけよ。貴方は、後ろ向きに掃除をしているだけ」(『黒猫の三角』 森博嗣)
掃除しない。
自分を言葉で慰めて荒れた道を舗装しない。
荒れたままでよい。
地図を前にしたとき現在地を知るのに苦労する。
いま自分がどこにいるかわからないから。
「現在地」
現在地がしっかりと刻まれた地図を手に入れた。
現在地が地図に記されているなんて思いがけない幸運。
地図にはこれからの道を描く。
「一人だけで良いから、誰かほかの人に、自分の生きているところを見ていてもらいたい」(『まどろみ消去』 森博嗣)
その一人と出会うことすらままならないことだってある。
その一人に出会ったら何もいらない。
私は「私のためにすること」を過去に置く。
もう必要ない。
私は、「自分の生きているところを見ていてもらいたい人」のためにすることを現在地にして、為すべきことを地図に記す。
無私。
無二の道をつくろう。
無二の道を素直に歩く。