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[Review]: ホンモノの文章力

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ホンモノの文章力 ―自分を売り込む技術 (集英社新書)

『ホンモノの文章力 ―自分を売り込む技術 (集英社新書)』 樋口 裕一

『頭がいい人、悪い人の話し方 (PHP新書)』 が、ベストセラーになり、一躍時の人に押し上げられた感がある樋口 裕一氏。氏は「小論文の神様」とよばれるほどの独自の小論文指導法で有名。著書は得意分野の文章術。といっても、俗にいう「てにをは」系じゃないし、思考訓練のたぐいでもない。じゃ、何か?

受験生に小論文を指導するかたわら、「文章を書くことを軽視されている」現代の風潮に疑問を投げかけるところが、「はじめに」。そして、受験生には、「試験に受かるテクニック」に徹するべきと主張。自分の指導要領もテクニック重視だと認識しているが、そこには、テクニックがホンモノの思考力と文章力をいつしか身につけさせると目論んでいる。著者曰く、「本書も徹底的に実践的で戦略的な文章術」。

  • はじめに
  • 第一章 「文は人なり」にもの申す
  • 第二章 「小論文・レポート・投書」-意見文の書き方
  • 第三章 自己推薦書・志望理由書の書き方
  • 第四章 作文・エッセイの書き方
  • 第五章 手紙・eメールの書き方
  • 第六章 文章は現代を救う
  • あとがき

「文は人なり」と言われるが、はたしてそうだろうか?こと大学入試や入社試験を考えれば、いささか疑問。言われのなかには、二つの問題がある。一つは、”ほんとうに文章だけでその人がわかるわけではない”。二つ目は、”ありのままに書けという欺瞞”。

この二つ目の問題が重大。なぜなら、文章を脚色し、創意することを罪悪とみなし、ありのままの自分を表現するように求められる。文は人なりを盾に、「文章」自体から(だけでと言ってもいいか)、書き手の人生の結果を判断しようとする思惑があるから。

『自分の言葉で書け』『ありのまま書け』『素直に書け』という従来の文章教育が、書く楽しみを奪っている。書く楽しみとは何か?

自分の言葉を伝えようとするときに工夫する表現力。文体、誇張表現、比喩、語彙力などなど。「私は笑った」、じゃなくて、どう笑ったのか?微笑か?爆笑か?嘲笑か?例えるならどんなときの笑いか?筆者を、それを表現しようとしている工夫を奪うなと言う。

筆者は言う、「文は人なり」ではなく「文は自己演出」。例えば、小論文。テクニックを駆使し、頭の良さ、豊富な知識、的確な判断力をアピールするのが、小論文。入社試験も同じ。

多くの人が小論文の正体をわからずに、恐れ、敬遠してしまう。そうではない。小論文は作文より簡単であり、乱暴にいえば、「YESかNO」を判断するのみ。作文のように情緒あふれる文才豊かな文章でなくてよい。ただし、YESかNOを述べるには、論理を構築しなければならず、その論理の出発点が論点。

では、「作文より簡単な小論文」を書くために必要なものは何か?それが、冒頭に紹介した、本書が”てにをは”でも”思考訓練”でもない文章術を解説した本題、テーマ。「型」を利用すること。

では、その「型」とは何か?「型」をどう利用するのか?「型」を応用させるにはどうすればよいのか?が、あとは自己推薦書、作文、手紙の章へと続く。

まぁ、実践的とうたっているように、文章を書くのに悩んでいたら得るところ大かと。練習問題と回答例まで用意されているので、受験生にもうってつけ。「型」というのは、おもしろいもんで、『アイデアのヒント』 ジャック フォスター にも、「考えるヒントには、制約を作ろう」(同,P141)ってね。

確かに心当たりがある。まったく白紙の状態から何かを考えたり、書いたりするよりも、枠組みをつくってしまったほうが、イメージからアイデアやテキストを孵化しやすいって経験がありません?

スピーチも同様かと。同じ3分間を、なーんにもない状態でスピーチするのと、テーマをきめて「型」のスピーチするのとではどうだろう。断然、後者の方が、伝わりやすいスピーチになるし、内容も洗練されるんじゃないかと。時と場合によりけりだけど。

脱線した。本書の「型」の優位性いかしつつ、作文やエッセイで趣のある文章を勉強したい場合は、『人の心を動かす文章術』 もいいかも。小論文系は、やさしい文章術―レポート・論文の書き方もアリ。

こっから先は、個人的苦言なのでスルーで。最近、文化人のニューカマーである齋藤 孝先生や樋口先生は、出版ラッシュ。齋藤先生なんか毎月。でもね、読めばわかるけど、ある時点を境にして、あとは二番煎じものが多い。出版業者のほうの問題だと思うけど、やっぱり初期の頃のほうがタメになる。

樋口先生の場合でいえば、文章術関係は、上3冊ぐらいで十分かと。昨年のベストセラーや今年に入ってからの著書は、生意気言えば、駄作かなぁ。まぁ、あれだけ「書ける」こと自体は、大変な労力だし、豊かな識見と鋭い視点がないと難しいのはわかるけど。齋藤先生はというと、ご想像におまかせします(笑)。

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